スーパーまで徒歩数分…駅前タワマンで変わった夫婦の日常
引っ越して間もないころ、隆さんは何度も「狭くなったな」と口にしていました。4LDKの戸建てから2LDKです。家具や荷物もかなり処分しました。
しかし、数ヵ月たつと、別の変化に気づきました。
ある朝、美代子さんが「牛乳がない」と言うと、隆さんは「じゃあ買ってくる」と財布だけを持って家を出ました。
スーパーまでは歩いて数分です。以前なら、牛乳一つのために車を出すことはなく、次の買い物まで待っていたでしょう。
美代子さんも、電車で友人と出かける機会が増えました。以前は夫に駅まで送ってもらうか、バスの時間に合わせて家を出ていましたが、今は思い立った時間に歩いて駅へ向かえます。
内閣府『令和5年度 高齢者の住宅と生活環境に関する調査』では、現在の地域で不便に感じることとして、「日常の買い物に不便」が23.9%、「医院や病院への通院に不便」が23.8%、「交通機関が高齢者には使いにくい、または整備されていない」が21.5%となっています。
もちろん、戸建てからマンションへの住み替えには新たな負担もあります。
毎月の管理費や修繕積立金がかかり、駐車場代も必要です。夫婦は購入前に、年金収入の範囲でどこまで固定費を負担できるかを確認しました。
それでも隆さんは、「前の家のほうが広かったし、庭もあった。でも今のほうが生活できる範囲は広い」と話します。
夫婦は車もすぐには手放していません。ただ、利用する回数は大幅に減りました。将来的に運転をやめても、この場所なら生活を大きく変えずに済みそうだと考えています。
高齢期の住まいに何を求めるかは、人によって異なります。広い戸建てを維持することが合う人もいれば、マンションへ住み替えることで暮らしやすくなる人もいるでしょう。
重要なのは、今の家で暮らせているかだけでなく、5年後、10年後にも同じ生活を続けられるかという視点です。隆さん夫婦が住み替えによって手に入れたのは、タワーマンションという住まいそのものより、車や家の管理に縛られず、自分たちで出かけられる生活でした。
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