払い過ぎた800万円、返還を受けることは可能か?
山田さん夫妻は、急いで別の建築業者に相談し、現場を確認してもらいました。すると、これまでに完成している工事は、金額でおよそ2,000万円程度ではないかとのこと。
夫妻が若葉工務店に支払った金額は2,800万円です。つまり、約800万円を工事の出来高以上に支払っていることになります。
夫妻は、書類を持参して弁護士のもとを訪れました。
「工事をしてもらった2,000万円分は、仕方ないと思っています。ただ、残りの800万円は、まだ工事をしてもらっていない分だという認識です」
直樹さんは弁護士に尋ねました。
「この800万円は戻ってきますか?」
弁護士は、重い口を開きました。
「残念ながら、若葉工務店が本当に破産するのであれば、800万円全額を取り戻せる可能性は高いとはいえません」
今年上半期、建設業の倒産・廃業は「リーマン超え」で過去最多
工務店の破産ケースが増加しています。
2026年7月にリリースされた帝国データバンクのレポートによると、2026年上半期(1-6月)に発生した「建設業」の倒産(負債1,000万円以上、法的整理)は1,043件、同期間における休廃業・解散(以下「廃業」)は6月末までに4,894件判明とのこと。今年上半期における建設業の倒産・廃業合計=「撤退」累計は5,937件で、上半期としてはリーマン・ショック直後の2009年(5,811件)を超えて、過去最多となっています※。
※ 出所:帝国データバンク『「建設業」の倒産・休廃業解散動向(2026年上半期)』(https://www.tdb.co.jp/report/industry/20260714-kensetsu26y1-6/)
背景には、建築資材の高騰、職人不足による人件費の上昇、さらに住宅ローン利率の上昇などに伴う消費者の購買意欲の低下などといった事情があるとされています。
若葉工務店から届いた弁護士の通知は、まさに破産手続きの入口となりうるもので、いわゆる「支払停止」と評価される類の書面でした。
そして、いったん工務店が破産手続に入ると「工事をしていない分のお金だから、その分を返金してください」という単純な話ではなくなってしまうのです。
