この15年間で、地上在庫は「0.9杯分」増加
ただ、実際のところ、近年の諸事象が金(ゴールド)を保有する動機を大きくしていることや、価格高騰を受けて生産を拡大するメリットが大きくなっていることなどを受けて、鉱山生産量は緩やかに増加しており、それに伴い、地上在庫は増加しています。
2025年の地上在庫は、オリンピックプールおよそ3.7杯だったと述べましたが、15年前の2010年の地上在庫を同じサイズのプールで換算すると、およそ2.8杯でした(約16万トン)。この15年間で、1杯に迫るおよそ0.9杯分も、地上在庫が増加しました。長い金(ゴールド)の歴史において、まさに今、地上在庫が記録的な変化期を迎えていると言えます。
とはいえ、2010年から2025年のおよそ15年間で、金(ゴールド)価格が約3.5倍(1,200ドル→3,400ドル台)になったことと合わせて考えれば、鉱山生産量の増加やそれに伴う地上在庫の増加は、需給バランスを緩める作用をもたらしてはおらず、増加する需要に見合うだけの供給を続けた結果だったと言えるでしょう。
地上在庫増加の背景にある「中央銀行」と「非伝統的な有事」
現代の金(ゴールド)相場を分析する上で欠かせないテーマのうち、中長期の中央銀行、および、超長期の非伝統的な有事が同相場を長期視点で支える「土台」となり始めたと考えられる時期も、2010年ごろでした。
2010年からの地上在庫の増加には、地政学リスクの高まりなど「非伝統的な有事」が拡大するなかで、中央銀行が金(ゴールド)需要を旺盛に増やしてきたことが関わっていると言えそうです。
吉田 哲
楽天証券経済研究所 コモディティアナリスト
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