金相場の“通説”はあてにならない?
金(ゴールド)の値動きには、「過去」と「現在」で説明の仕方に大きな違いがあります。
1970年代前半~2000年代前半にかけては、「有事の金」や「株と金の逆相関」といったわかりやすいフレーズが広まり、金相場を語る際の“常識”として定着しました。まるで天動説のように、いまなお根強く信じられている考え方です。
しかし現在の金(ゴールド)相場は、こうした過去に形成された通説だけでは説明しきれない局面が増えています。
具体的な例で考えてみましょう。まずは、2009年3月と2011年6月の価格を比較してみます。2009年3月は、米国で大規模なQE(金融緩和)※の第1弾が始まった月、2011年6月は第2弾が終了した月にあたります。
※ QE(Quantitative Easing):FRBが米国債などを買い取り、市場に資金を供給する量的緩和政策。
それぞれの金価格とS&P500指数は下記のとおりです(いずれも月間平均)。
■2009年3月
金価格:925.13ドル
S&P500指数:756.83ポイント
■2011年6月
金価格:1,528.52ドル
S&P500指数:1,317.28ポイント
この間、金価格は65.2%、S&P500は74.1%、いずれも上昇しています。
次に、2022年2月と同年12月を比較してみましょう。2022年2月はウクライナ戦争が勃発した月であり、2022年12月はその年の最終月です。
それぞれの金価格とS&P500指数は下記のとおりです(いずれも月間平均)。
■2022年2月
金価格:1,856.30ドル
S&P500指数:4,400.87ポイント
■2022年12月
金価格:1,796.74ドル
S&P500指数:3,948.02ポイント
この間、金(ゴールド)価格は3.2%、S&P500指数は10.3%、いずれも下落しています。
この2つの例からわかることは、株と金が同時に上昇・下落する局面や、有事が発生しても金価格が下落する局面が存在するということです。1970年代前半~2000年代前半に形成された通説は、現在の金相場の分析にそのまま当てはめることはできないことがわかります。
なぜ、そのまま当てはめることができないのでしょうか。

