初代が掲げた経営理念が、今も活かされているか?
ここで現在の経営理念が、そもそもどのように出来上がってきたものかを振り返ってみるのも有益です。
現経営者が創業者であれば、事業を立ち上げる大本になった動機が、経営理念の中に含まれているはずです。その理念に則り、ここまで会社を経営し、あるいは大きくしてきたわけですから、会社の歴史には常にこの理念が併走していたと言えます。
現経営者が2代目以降である場合であれば、初代が掲げた経営理念が今のものに活かされているかどうかを考えてみることになります。代が替わるごとに、新たな経営者による新たな経営理念が掲げられ変化していくなかで、初代から受け継がれて脈々と根づいているものはないでしょうか。
変えるものと変えないものを見極める――当たり前のことですが、ここでもそれが大きな鍵となるのです。
経営理念を社内に浸透させることで、一体感を強める
さらに、もうひとつここで考えておきたいことがあります。それは、これまで引き継がれてきた経営理念を含めた現経営理念を、現在の幹部社員や従業員が理解し、それに基づいた業務を行っているかどうかです。
経営者や幹部社員だけでなく、業務に携わる一人ひとりの従業員までがこの経営理念を基盤としているようであれば、会社全体が同じ方向を向いていることになります。これは経営をしていく上で、会社との一体感を強めるとともに目指す目的への求心力を高める、非常に大事な点なのです。
いい機会ですから、幹部社員や従業員に経営理念を理解し、日々意識しているかどうかを聞いてみるのもよいでしょう。その結果、もし経営理念が浸透していなかったとすれば、それは経営者側の問題が大きいと言って間違いありません。
経営理念が適切でない、あるいは従業員の理解を得られるものではなかったという、内容的な問題はどうか。もしくは経営理念を周知徹底させるための行動を疎かにしていたのではないか。大まかにでも明文化しておくべきだったのではないか・・・こうした各種の振り返りができるはずです。
後継者が同じ轍を踏まぬためにも、経営理念をどうやって周知させ、浸透させていくのか、現状を参考にして十分に話し合う必要があるといえます。