2度の弁護士交代を経て迎えた「初回期日」
Kさんの申し立て自体は維持されましたが、弁護士が辞任したため、再び新しい弁護士を探さなければならなくなりました。当然、2人目の弁護士にも費用を支払う必要が生じます。なお、1人目の弁護士からは「自己都合による着手金の返還には応じない」と回答があり、Kさんはこれを受け入れざるを得ませんでした。結果として、同じ手続きのために2件分の費用を負担することになったのです。
新しい弁護士に対しても、Kさんは「期日はもっと早くならないのか」と強く迫ります。しかし、家庭裁判所のスケジュールは変わらず、結局初回期日は予定どおりの日になりました。
そして迎えた期日当日。Kさんは「俺も参加しないと気が済まない」といって、弁護士だけでなく本人も出席しました。
争点整理の結果、裁判官から「次回期日は連れ去り前の子の監護状況について補充するように」との要請がありましたが、ここでもKさんは激しく反発します。裁判官には「子どもが連れ去られているんだ、違法に決まってる」と声を荒げ、弁護士には「どうして連れ去り前の監護状況が必要なのか」と詰め寄りました。
しかし、監護者指定・引き渡し・保全処分といった子どもを従前の生活に戻すための手続きでは、子の監護に関する陳述書を提出し、これをもとに家庭裁判所調査官が子の監護状況を調査するのが一般的です。
Kさんはこれまで子の監護にほとんど関わってこなかったこともあり、陳述書で求められる内容に満足に答えられないまま、第2回期日を迎えました。
第2回期日で露呈した「モラハラ的言動」
第2回期日で提出された相手方の陳述書には、Bさんの陳述として次のように書かれていました。
これを読んだKさんはさらに激高。第2回期日でも弁護士を無能扱いし、ほとんど自分で話し続けました。
その結果、裁判官は「争点整理がまだ不十分」と判断し、連れ去り時の状況について補充するよう指示。第3回期日を設けることになりました。Kさんは、2人目の弁護士も解任し、費用の全額返還を求めています。
争点整理を拒んだ結果の完全敗訴
Kさんのふるまいが適切だったかはさておき、1人目の弁護士も2人目の弁護士も、争点整理には従うべきだと一貫してアドバイスしていました。争点整理に応じなければ、相手方の「監護の実績」(子どもを適切に世話しているという事実)だけが積み重なってしまうためです。
最終的に、半年ほど相手方の監護の実績が形成され、Kさんは監護者指定・引き渡し・保全処分のいずれでも敗訴という結果になりました。
監護者指定・引き渡し・保全処分は、「連れ去られたから必ず勝てる」という性質のものではありません。子どもの福祉を最優先に、細かく審理されます。審理内容も独特であるため、専門家の助言に従わなければ勝訴の見込みはほとんどありません。
医師のように専門性が高く、自分の判断に強い自信を持つ職業の方は、言うことを聞かない患者に苛立つのと同じように、弁護士の助言を軽視してしまうことがあるようです。Kさんの場合も、「餅は餅屋」に任せることが、もっとも近道だったのかもしれません。
※プライバシーに配慮し、実際の相談内容から変更している部分があります。
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