「こんな我慢をして何の意味があるんだ」…“損切り”で心が折れた
無事に愛車の修理は終わったものの、Aさんに残ったのは虚無感でした。
「毎月節約して投資に回してきたのに。手元に現金がないから、こんなにあっさり損を確定させてしまった……」
現金不足による不本意な損切りを経験したことで、「こんな我慢をして何の意味があるんだ」と、Aさんの投資に対するモチベーションは下がってしまいました。
「老後のために」と始めた投資でしたが、現金の備え(生活防衛資金)を持たず、今の生活を犠牲にしすぎた結果、お金も気力もすり減らしてしまいました。
【FPの助言】50代は最低100万円…投資の前に「生活防衛資金」の確保を
Aさんの事例は、決して他人事ではありません。新NISAの普及に伴い、一部メディアの「早く枠を埋めるべき」という煽りに乗せられ、手元の現金をすべて投資に回してしまう「NISA貧乏」の相談が、私たちファイナンシャルプランナー(FP)の元にも多く届いています。
投資をするにあたって、絶対に忘れてはならない鉄則があります。それは、「投資は余剰資金で行う」ことです。
では、具体的にどうすればAさんのような悲劇を防げたのでしょうか。ポイントは2つあります。
1.まずは「生活防衛資金」を確保する
投資を始める前に、人生の不測の事態(病気、ケガ、失業、急な冠婚葬祭など)に対応するための現金を確保しておく必要があります。これを「生活防衛資金」と呼びます。金額の目安は以下のとおりです。
・会社員の場合……生活費の3ヵ月〜6ヵ月分
・自営業・フリーランスの場合……生活費の6ヵ月〜1年分
50代ともなれば、自身の健康リスクだけでなく、親の介護や家のリフォームなど、突然の出費の可能性が若い世代よりも格段に高まります。最低でも100万円〜200万円程度は、いつでも引き出せる普通預金に残しておくべきです。
2.ライフプランに合わせた「資金の分類」
手持ちのお金は、以下の3つに分けて管理するのが基本です。
Aさんは、上記の(1)と(2)を完全に無視して、すべての資金を(3)に突っ込んでしまったことが失敗してしまった最大の原因といえます。

