老後不安から一念発起…貯金200万円を「新NISA」に全振り
都内のメーカーに勤務する独身のAさん(53歳・男性)。年収は約600万円で、月の手取りは約35万円です。これまで家計管理とは無縁で、趣味の車や一人旅などにお金をかけては、入った給料を使い切るような生活を送ってきました。
そんなAさんも50代に入り、定年後の生活に不安を覚えるようになりました。口座残高を確認すると、貯金は200万円。「このままでは老後破産だ」と焦ったAさんがすがりついたのが、世間で話題になっていた「新NISA」でした。
「S&P500やオルカンなら、長く持てば絶対に儲かる」「現金で持っているのは損」という情報を真に受けたAさんは、極端な行動に出ます。貯金200万円を、すべて新NISAの成長投資枠に一括で投入したのです。
これで手元の現金はほぼゼロになりましたが、非課税枠をさらに埋めるために手取り35万円の給与からも毎月10万円をつみたて投資枠に回す設定にしました。
家賃や車の維持費、日々の生活費などを支払うと、手元にはほとんど現金が残りません。それでもAさんは「老後のため」と、日々のちょっとした楽しみを我慢しながら「投資ファースト」の生活を続けていました。
愛車の修理代で50万円…現金がなく、含み損のNISAを泣く泣く解約
しかし数ヵ月後、想定外の事態が起きます。
投資生活のなかでも唯一手放さずにいた趣味の愛車が故障し、約50万円の修理代が必要になってしまったのです。「いっそ車を手放せばいい」と頭ではわかっていても、愛車への執着だけはどうしても捨てきれず、Aさんは修理を決断しました。
50万円という急な出費を前に、Aさんは頭を抱えました。貯金をすべて新NISAに入れてしまったうえに、毎月の給与もギリギリまで投資に回していたため、預金口座には数万円しかありません。
新NISAの口座から50万円分を売却しようとしましたが、運悪く米国株は一時的な相場調整の下落局面でした。Aさんが一括投資したS&P500の評価額も下がっています。
「ボーナスの時期もまだ先だし、やむを得ないか……。新NISA、増えないじゃないか」
修理代の支払いは待ってくれません。Aさんは50万円の現金を確保するため、泣く泣く一部売却し、損失を確定させることになりました。
