カリフォルニア“富裕層5%課税”構想――1,600億円超資産に広がる節税・移転の攻防【国際税理士が解説】

カリフォルニア“富裕層5%課税”構想――1,600億円超資産に広がる節税・移転の攻防【国際税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

米カリフォルニア州で、純資産10億ドル(約1,600億円)を超える超富裕層に対して、一度限りとして純資産の5%を課税する法案が議論されています。対象はごく限られるものの、そのインパクトは資産規模だけでなく、行動様式や資産管理のあり方にまで及びつつあります。すでに富裕層の間では、寄付による資産圧縮や信託スキームの活用、さらには州外への資産移転など、複数の対応策が並行して検討されており、制度の行方は資産運用業界や税務コンサルティング市場にも影響を与え始めています。本稿では、『トランプ劇場と超富裕層課税 増税か、減税か——税制が映し出すアメリカの真実』を刊行した奥村眞吾税理士が詳しく解説します。

信託・LLC・評価設計という高度化する対応

富裕層の資産管理はより複雑化しています。

 

自社株の評価額上昇を抑えるために資金調達や株式公開を先送りするケースや、LLC(合同会社)や撤回不能信託(Irrevocable Trust)を活用した資産移転など、専門家による設計が広がっているとされます。

 

かつては単純な節税対策だったものが、いまでは税制そのものを前提とした「資産構造の設計」に近い領域へと変化しています。

物理的な資産移転と州外戦略

加えて、物理的な資産移転も検討されています。美術品やヨットなどの高額資産を州外の別荘に保管するなど、所在地そのものを分散させる動きです。

 

法案では年間270日以上カリフォルニア州外に所在する有形資産は純資産から除外されるとされており、こうした規定を踏まえた対応も広がっています。ただし、一時的な移転では認められないため、実態を伴う移動が求められます。

 

こうした一連の動きは、新たなビジネスの拡大にもつながっています。寄付戦略の設計、信託の組成、資産移転スキームの構築など、税制変更を起点とした専門サービスの需要が拡大しているためです。

 

米国では税制の変化が、単なる制度改正にとどまらず、資産運用やコンサルティングといった周辺産業の成長を直接的に生み出す構造が見られます。

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