「孤独で、不憫な男だと思っていたのに…」急死した〈68歳独身兄〉の部屋で呆然とする59歳妹。兄の古い机から出てきた、“家族の序列をひっくり返す”衝撃の真実

「孤独で、不憫な男だと思っていたのに…」急死した〈68歳独身兄〉の部屋で呆然とする59歳妹。兄の古い机から出てきた、“家族の序列をひっくり返す”衝撃の真実
(※写真はイメージです/PIXTA)

きょうだい同士離れて暮らしていると、その生活実態がみえにくいケースも少なくありません。こうした場合、死後になってはじめて、思い込んでいたきょうだいとは異なる事実が判明することも……。本記事では、波多FP事務所の波多勇気氏が、生涯独身だった68歳男性の事例から、おひとりさまの相続対策について解説します。※紹介する事例は、相談者より許可を得て、プライバシー保護の観点から相談者の個人情報および相談内容を一部変更して記事化しています。

重要性が高まる「おひとりさまの相続対策」

この事例で注目すべきポイントは、独身の隆さんが自分の財産について、誰になにを残し、誰に負担をかけないかを、元気なうちに設計していたことです。

 

内閣府の「令和8年版高齢社会白書」によれば、令和6(2024)年現在、65歳以上の人がいる世帯は2,760万4,000世帯で、全世帯の50.3%を占めています。また、65歳以上の一人暮らしも増加傾向にあり、令和2(2020)年時点で男性15.0%、女性22.1%、令和32(2050)年には男性26.1%、女性29.3%になると見込まれています。

 

このように「高齢の一人暮らし」が増えるなか、生前の相続対策が、残された家族の負担を大きく左右します。

 

配偶者も子もおらず、親も亡くなっている人の相続が発生した場合、原則「兄弟姉妹」が法定相続人になります。隆さんの場合、美和子さんと弟の昇さんが法定相続人にあたります。ただし、民法により、兄弟姉妹には「遺留分」がありません。そのため、「遺言書」があれば、財産の行き先は故人の意思が反映されやすくなります。

 

一方で、「死亡保険金」は、遺言で扱う財産とは性質が異なります。生命保険契約で受取人が指定されていれば、原則としてその受取人が保険金を受け取ることが可能です。

 

ただし、相続税の扱いには注意してください。相続人以外が死亡保険金を受け取る場合、生命保険金の非課税枠が使えないことがあります。今回のようなケースの場合、司法書士や税理士などの専門家に確認すると安心です。

遺品整理で家族が最もやっかいなこと

遺品整理の際に家族が最もやっかいに感じるのは、財産の多さではなく「財産があるのかないのかさえわからない状態」です。

 

どこの銀行に口座があるのか、証券会社はどこか、保険会社はどこか、借入れや保証人になっている契約はないか、家賃・公共料金・携帯電話・インターネット・サブスクリプションの支払いはどうなっているか……。これらがわからないと、遺族は悲しむ時間もないまま、書類探しと各所への連絡に追われることになります。

 

終活というと、立派なノートを買い、人生を振り返り、家族への感謝を長々と書くものだと思われがちですが、実務的には、下記のようなものをまとめた1枚を残すだけで十分です。

 

・銀行名

・証券会社名

・保険会社名

・不動産の有無

・借入れの有無

・毎月引き落とされている契約

・相談してほしい専門家

・処分してよいもの、残してほしいもの

 

これだけでも、残された家族の負担はかなり減ります。

 

また、独身の人や子どものいない人ほど、「遺言」の重要性は高くなります。自分の財産を誰に残したいのか、寄付したい場所はあるかなど、希望がある場合は必ず書面にしておきましょう。

受け取った兄からの“メッセージ”

「私たち、お兄ちゃんのことなにも見えてなかったね」

 

遺品整理を終え、美和子さんはつぶやきました。結婚歴や子どもの有無、持ち家の有無……。家族は、こうしたわかりやすい記号で無意識のうちに人を判断します。しかし、孤独で不憫な男だと思っていた兄は、実は誰よりも冷静に、自分の人生と家族の未来を見つめていたのです。

 

美和子さんと正則さんが受け取ったのは、兄の意思と財産だけではありません。「家族をわかったつもりになることの危うさ」と「生前対策の重要性」を胸に刻み、二人は部屋をあとにしました。

 

〈参考・出典〉
■内閣府「令和8年版高齢社会白書 第1章第1節3 家族と世帯」
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2026/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf

 

■国税庁『タックスアンサー No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金』 
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

 

 

波多 勇気

波多FP事務所 代表

ファイナンシャルプランナー

 

 

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※プライバシーのため、実際の事例内容を一部改変しています。

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