「3つの箱」思考は、一度身につければ一生モノの武器になる
この「3つの箱」思考を、私が無意識のうちに極限まで実践していた時期がある。学生時代の私は、親からの仕送り5万円のうち、家賃込み月3万5000円で生活するという、今思えば狂気の沙汰のような生活を送っていた。
まるで「仙人」さながらの暮らしぶりだったが、当の本人は悲壮感など微塵もなかった。むしろ、限られた予算の中でいかに生活の質を維持し、楽しみを見出すかという、一種のシミュレーションゲームとして、心から楽しんでいたのだ。
例えば、家賃は1万9000円。家賃相場が崩壊した地方ではない。東京都杉並区久我山だ。大家さんの家の敷地の中に立っていたアパートだった。自炊するための台所付きだ。台所無しならもっと安いところがあったが、そこは必要経費だ。
そして、食費。近所のスーパーで見切り品になった野菜や豆腐などを買い込み、自炊する。鶏胸肉は100グラム30円台のセールの時に買いだめして冷凍する。煮るか炒めるかすれば立派な料理になる。これがけっこう美味い。食費は月1万円、1食100円生活だ。
自宅の冷暖房は使わない。というか、ない。図書館は最高だ。古今東西の叡智が詰まった冷暖房完備の快適空間。しかも、タダ。最低限の光熱費と交通費を入れても、生活費3万5000円。
そして残りの1万5000円で、映画館の割引デーやリバイバル上映、オールナイト興行を狙って月に20本映画を観る。なんと文化的でステキな生活だったことか。
この生活で、私は何を「消費」し、何を「浪費」せず、何に「投資」していたのか。家賃と食費は、生きるための最低限の【消費】。図書館や映画館で過ごすのは、知識や感性を磨く未来への【投資】。そして、世間一般の大学生が使っていたであろう、流行の服や飲み会代といった【浪費】は、私の世界には存在しなかった。
あなたに、私と同じ仙人になれ、と言っているのではない。そんなことをしても、惨めになるだけだろう。私がこの極限生活から学んだ、あなたに伝えたい本質は、たった一つだ。
「人は、自分が思っているより、ずっと少ないお金で生きていける。そして、支出を意識的にコントロールする感覚は、一度身につければ一生モノの武器になる」ということだ。
コンビニの新作スイーツを我慢したら、未来のフェラーリのタイヤ1本分になるかもしれない、などと言うつもりはない。しかし、その500円が、あなたの未来を拓く一冊のビジネス書に変わる可能性は、確かにあるのだ。
小原 正徳
株式会社不動産科学研究所 代表取締役
投資家・事業家/不動産鑑定士/宅地建物取引士
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