ネットオークション、フリマアプリの法律トラブル対策――詐欺や未払い被害を防ぐ重要ポイント【司法書士がアドバイス】

ネットオークション、フリマアプリの法律トラブル対策――詐欺や未払い被害を防ぐ重要ポイント【司法書士がアドバイス】
(※写真はイメージです/PIXTA)

近年増えているネットオークションやフリマアプリの法的トラブル。商品未着や、代金未払いに遭遇しても対処しきれず、泣き寝入りになるケースは後を絶ちません。本記事では、詐欺や未払いトラブルを回避する方法を見ていきます。司法書士法人永田町事務所の加陽麻里布氏が解説します。

取引前に「危険な相手」を見抜くことが重要

認定司法書士は、140万円以下の簡易裁判所の案件について代理人になることができるため、筆者も少額トラブルの相談を受ける機会があります。なかでも近年増加傾向にあるのが、ネットオークションやフリマアプリでの商品未着や、代金未払いといった詐欺被害の法律トラブルです。

 

トラブルを未然に防ぐために重要なのは、取引前の段階で〈法律トラブルになりやすい相手かどうか〉を見抜くことです。トラブル予備軍を見抜ければ、被害に遭う確率は格段に減ります。

 

トラブルの予備軍には明確な共通点があります。フリマアプリなどの場合、まず確認するべきポイントは「評価欄」です。この内容をチェックすることで、過去の取引でトラブルが疑われる評価がないか、ひいては契約上の義務違反が疑われる評価がないかを確認できます。

 

悪い評価はもちろんですが、「連絡が取れない」「説明と違う商品が届いた」「代金が支払われなかった」といった、法律的にも義務違反といえる内容が書かれている相手は注意が必要です。

 

また、本人確認済みのアカウントかどうかも重要なポイントになります。詐欺被害で泣き寝入りとなってしまう原因のうち、非常に多いのが「相手の身元が分からず請求できない」というケースです。

 

しかし、本人確認済みであれば、少なくとも運営会社が一定の情報を保有しているため、万が一トラブルになった際にも追跡できる可能性があります。

 

もちろん、本人確認書類すら偽造で運営会社すら騙しているような相手であった場合は難しいですが、「債務不履行の前歴がないか」「本人確認済みか」という2点の確認は、取引前のリスク判断として大切な視点になります。

「決済」と「発送」に注意すれば、回収の可能性は大きく変わる

また、詐欺の防止というより、法的にお金や商品の回収の可能性を確保するために重要なのが、決済方法や発送方法です。

 

◆決済方法…相手と直接的なやり取りをしない

まず認識いただきたいのが「運営会社を挟んだ決済でないとトラブルの際の金銭の回収は難しい」という点です。

 

特に注意したいのが、SNSのDMなどを使った直接取引です。たとえば「X(旧Twitter)などで直接やり取りして銀行振込で支払ったが、商品が届かない」といったトラブルは非常に多くあります。しかし、このような直接取引で直接送金をした場合、法律的な証拠も弱く、相手の特定も難しいため、トラブルが起きた際の回収はほぼ不可能だといえます。

 

一方で、エスクローサービス(物品などの売買において、信頼できる中立的な第三者が契約者の間に入り取引の安全性を担保する)や、仮払い機能のある運営会社を挟んでいれば、履行されるまで支払いがロックされる、異議申し立てできるなど、法的保護に近い役割を果たしてくれます。

 

◆発送…追跡できる記録を残し、保存しておく

発送方法にも注意が必要です。普通郵便のように追跡できない方法だと「いつ発送したのか」「本当に発送したのか」の証明が非常に難しくなります。

 

そのため、追跡番号付きの発送方法を利用し、発送控えも必ず保存するなど、発送を証明できるようにしておくことが大切です。

 

追跡や保証付きの発送は責任の所在を明確にするための機能であり、万一荷物が紛失した場合でも、補償を受けられる可能性が高くなります。

 

◆記録:相手とのやり取りの履歴を保存しておく

取引履歴やメッセージの保存も非常に重要です。商品状態や梱包状態の写真、メッセージ履歴は、トラブルに発展した際には重要な証拠となります。

 

返金の可否や相手に認めさせるかはもちろんですが、内容証明や、警察・裁判所へ相談する場合でも、必須の法的な証拠となり、これらの「証拠能力」のある記録が残っているかどうかで、対応が大きく変わってきます。

トラブルが起きた時は冷静に対応する

実際にトラブルになってしまった場合は、感情的にならず、次に示した手順で対応していくことが重要です。

 

①運営会社への連絡

フリマアプリなどを介している場合は、まず運営会社へ連絡します。

 

サービスを利用している以上、運営会社が定めている取引ルールが優先されます。利用規約に基づいて、支払い停止やエスクローサービスを使っている場合はお金が相手に渡らないように対策してもらうなど、法的手続きよりも早くかつ強力な対策を取ってもらえます。特にエスクロー機能がある場合は、早めに申告することが重要です。

 

②警察への相談

「商品が届かない」ことに対し、相手に最初から騙す意図があったと思われる場合は、詐欺に該当する可能性もあります。

 

その場合は取引履歴や振込記録などの証拠を整理した上で、警察へ相談することも選択肢になります。警察や運営会社と協力し、解決を目指すこともあります。

 

③内容証明郵便の送付

相手の住所が分かる場合は「支払いの催告」や「損害賠償請求」などの内容証明郵便を送る方法も有効です。正式な請求として通知し、相手にプレッシャーをかけることで解決につながるケースもあります。

SNSで相手を晒す行為には注意

注意してほしいのが、トラブル相手をSNSに晒す行為です。

 

一矢報いたくなる気持ちは理解できますが、「この人に騙された」「悪質出品者だ」などといった投稿をSNSにさらすことで、二次トラブルとして別の法律問題に発展するリスクがあり、自らの立場を不利にすることになりかねないのです。

 

たとえば「このアカウントで詐欺行為をされた」等と発信してしまうと、名誉毀損になるリスクがあります。法律上の「詐欺」は、刑法で厳密に構成要件が定義されており、一般的な感覚で「詐欺だ」と思っても、法律上は該当しないケースもあります。

 

そのため、SNSへの感情的な投稿が、逆に名誉毀損などの問題に発展してしまうリスクがあるのです。

 

そのような事態を回避するためにも、感情的にならずに冷静に証拠を集め、少額訴訟などの法的な手段を進めることが大切です。

小さな揉め事も、放置すると法律問題になりかねない

ネット取引のトラブルは、最初は小さな揉め事でも、放置すると法律問題へ発展するリスクがあります。

 

ネットという特性上、相手の特定は容易ではなく、特定できなかった場合はどれほど被害があっても対応が難しいのが現実です。

 

トラブルを未然に防ぐためにも、事前に相手の情報をよく見て、債務不履行の前歴がないか、本人確認がされていて運営が当人の情報を持っているかといったことを確認してからの取引に臨むことが大切です。

 

また自分自身も、荷物の紛失時等で不要な責任を負わないよう、運営会社を介した決済や追跡可能な発送を行うといった、基本的な対策を徹底することが必要です。

 

万が一トラブルになった場合は、SNSへの書き込みなどはせず、運営会社への連絡、証拠整理、内容証明郵便、少額訴訟など、状況に応じた法的対応を冷静に検討していきましょう。対応がむずかしければ、司法書士や弁護士等の専門家へ早めに相談するのがお勧めです。

 

 

加陽 麻里布

司法書士法人永田町事務所 代表司法書士

 

 

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