(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢になると、一人暮らしへの不安は少しずつ大きくなっていきます。転倒や病気、買い物や通院の負担。特に配偶者を亡くした後は、「誰かと一緒に暮らしたい」と感じる人も少なくありません。そんな中、離れて暮らす子どもから「一緒に住もう」と言われれば、安心を感じるのは自然なことです。しかし、その同居が、必ずしも穏やかな老後につながるとは限りません。

「一人じゃなくなる」…85歳女性が喜んだ息子との同居

千恵子さん(仮名・85歳)は、数年前に夫を亡くしました。収入は月約8万円の国民年金のみ。貯金も40万円ほどしかなく、生活はぎりぎりでした。

 

古い団地での暮らしは不安も多く、重い荷物を持って階段を上がるだけでも一苦労だったといいます。

 

「この先、一人で暮らせるのかなって、ずっと不安でした」

 

そんな千恵子さんに声をかけたのが、55歳の長男・勝さん(仮名)でした。

 

「もう一緒に住もう。母さん一人じゃ危ないよ」

 

千恵子さんは涙が出るほど嬉しかったといいます。

 

「息子に迷惑をかけたくないと思っていたけど、“頼っていいんだ”って思えたんです」

 

勝さんは離婚後、一人暮らしをしていました。仕事は不安定で、派遣や短期の仕事を転々としている状態だったといいます。それでも千恵子さんは、「親子で支え合えばいい」と考えていました。

 

団地を引き払い、千恵子さんは息子の住むアパートへ移ります。家賃や光熱費を少しでも助けようと、年金の大半を生活費として渡していました。

 

「月8万円しかないのに、“少なくてごめんね”って謝っていたくらいでした」

 

総務省『家計調査(2025年)』によると、65歳以上の単身無職世帯の可処分所得は月約12.4万円に対し、消費支出は約14.9万円で、平均では赤字となっています。月8万円の年金だけで生活することは、極めて厳しい状況です。

 

最初の数ヵ月は穏やかでした。勝さんは買い物に付き添い、病院にも連れて行ってくれました。

 

「やっぱり息子と暮らせてよかった」

 

千恵子さんは、そう感じていました。しかし、その空気は少しずつ変わっていきます。

 

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