(※写真はイメージです/PIXTA)

一人暮らしをしている高齢の親に、子ども世代が生活費を援助するケースは少なくありません。年金だけでは生活が苦しく、仕送りによって何とか暮らしを維持している家庭もあります。しかし、その支援が長期化する中で、「本当に生活費なのか」「何に使っているのか」が見えなくなり、家族関係に不信感が生まれることもあります。

「節約しているとばかり」…息子が知った、母の“孤独な浪費”

実家の玄関を開けた瞬間、智也さんは違和感を覚えました。床には通販の段ボールが積み重なり、居間には未開封の商品が並んでいました。

 

健康食品、美容器具、テレビショッピングで購入した調理器具。さらに、使い切れないほどの日用品まで山積みになっていたのです。

 

「……これ、どうしたの?」

 

智也さんが尋ねると、英子さんは気まずそうに笑いました。

 

「安かったから、つい」

 

冷蔵庫には高級総菜や大量の食品も入っていました。一方で、家の修繕は後回し。浴室の換気扇は壊れたままで、暖房も古いままでした。

 

「生活が苦しいというより、“お金の使い方”が崩れていたんです」

 

智也さんは、その場で強く責めることができなかったといいます。

 

英子さんは、一人暮らしになってから外出も減り、近所付き合いもほとんどなくなっていました。テレビと通販番組だけが、日常の楽しみになっていたのです。

 

「届くと嬉しいのよ。誰かが自分のために持ってきてくれる感じがして」

 

その言葉に、智也さんは胸が詰まりました。

 

高齢者の消費トラブルや過剰購入については、消費者庁も注意喚起を行っています。特に一人暮らし高齢者では、孤独感や判断力の低下から、不要な契約や購入を繰り返してしまうケースもあります。

 

英子さんの場合、認知症と診断されるほどではありませんでした。しかし、寂しさや不安を埋めるように、買い物が習慣化していたのです。

 

智也さんは、母と一緒に家計を整理しました。

 

通販の定期購入を解約し、クレジットカードを見直し、地域包括支援センターにも相談。週に一度は電話だけでなく、ビデオ通話をするようにもしました。

 

「今までは、“お金を送れば安心”と思っていたんです。でも、本当に必要だったのは別のことだったのかもしれません」

 

英子さんも、少しずつ変化し始めています。最近では、地域の高齢者サロンに顔を出すようになり、「今日は誰と話した」という報告をしてくることも増えました。

 

「誰かと話せるだけで、全然違うのね」

 

そう笑う母の姿を見て、智也さんは初めて少し安心したといいます。

 

高齢の親を支えるとき、問題は“お金が足りるか”だけではありません。孤独、不安、生活の張り合い――そうした目に見えない部分が、家計の乱れとして現れることもあります。

 

「またお金が足りない?」

 

その違和感の裏にあったのは、単なる浪費ではなく、78歳の母が抱えていた“埋められない孤独”だったのかもしれません。

 

 

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