「まさか自分がこんな目に…」〈年金月16万円・金融資産1,800万円〉67歳元会社員男性、老後資金を失うきっかけとなった“孤独につけ込む誘惑”

「まさか自分がこんな目に…」〈年金月16万円・金融資産1,800万円〉67歳元会社員男性、老後資金を失うきっかけとなった“孤独につけ込む誘惑”
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期のトラブルは、必ずしも生活苦や判断力の低下だけから生まれるわけではありません。近年は、孤独感や社会的孤立につけ込む形で、高齢者が金銭的被害に巻き込まれるケースが増えています。本人に「騙された」という自覚がないまま、気づけば老後資金が大きく減っていた――そんな事態も珍しくありません。

「取り戻したい」…老後資金を失って気づいた“孤独の危うさ” 

投資額は、次第に大きくなっていきました。

 

「今ならチャンスです」

「ここで増やせば、老後がもっと安心になりますよ」

 

女性からそう言われるたび、小林さんは追加で送金していきます。退職金の一部、定期預金、さらには生活費として残していた資金にも手をつけました。

 

「どこかで、“この人は自分を騙さない”と思い込んでいたんです」

 

しかし、ある日を境に連絡が途絶えます。投資アプリにもアクセスできなくなり、初めて異変に気づきました。

 

「頭が真っ白になりました。“まさか自分が”という感じでした」

 

失った金額は、数百万円規模にのぼっていました。

 

消費者庁や警察庁も、高齢者を狙ったSNS型投資詐欺について注意喚起を行っています。特に「少額で利益を出して信用させ、その後に高額送金を促す」という手口は典型例とされています。

 

「ニュースでは見ていたんです。でも、自分は大丈夫だと思っていました」

 

小林さんが最もつらかったのは、お金だけではありませんでした。

 

「娘に言えなかったんです。“そんなものに騙されたの?”と思われるのが怖くて」

 

しかし、最終的には娘に打ち明けました。すると娘は、責めるより先にこう言ったといいます。

 

「お父さん、一人で抱え込まないで」

 

その言葉に、小林さんは涙が止まらなかったといいます。

 

内閣府『令和7年版 高齢社会白書』でも、高齢者の単身世帯は増加傾向にあり、孤立や社会的つながりの希薄化が課題として挙げられています。孤独は、時に判断力や警戒心を弱める要因にもなります。

 

現在、小林さんは地域の交流会やシニア向けサークルに参加し、少しずつ生活を立て直しています。

 

「人と普通に話せる場所があるだけで、かなり違いますね」

 

失ったお金は戻りません。それでも、小林さんはこう語ります。

 

「結局、欲しかったのは“儲け”じゃなかったんだと思います。誰かとつながっていたかっただけなんです」

 

老後のリスクは、通帳の残高だけでは測れません。孤独や不安にどう向き合うか――それもまた、老後生活を左右する大きな要素なのかもしれません。

 

 

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