「話し相手がほしい」…孤独な老後につけ込む優しい言葉
埼玉県に住む元会社員の小林さん(仮名・67歳)は、2年前に妻を亡くしました。長年連れ添った妻を失ってから、生活は一変したといいます。
「家の中が静かすぎるんですよ。誰とも話さない日もありました」
年金収入は月16万円ほど。加えて、退職金などを含めた金融資産は約1,800万円あり、生活自体はすぐに困窮する状況ではありませんでした。
「贅沢しなければ大丈夫だと思っていました。お金の不安より、“一人でいる時間”のほうがきつかったですね」
最初の変化は、スマートフォンでした。
娘から「外とのつながりを持ったほうがいい」と勧められ、SNSや動画アプリを使うようになります。そこで知り合ったのが、40代だという女性でした。
「最初は何気ないやりとりをしていただけでした。今日は何を食べたかとか、どこに出かけたかとか」
久しぶりに誰かから気遣われる感覚が、うれしかったといいます。やり取りは毎日のように続きました。
「自分でも、のめり込んでいたと思います。誰かと話せるのが楽しみになっていた」
その後、女性は「将来のために投資をしている」と話し始めます。
「今は普通預金だけじゃ増えないですよ」
「私も最初は怖かったけど、ちゃんと利益が出ています」
送られてきたのは、投資アプリの画面や、利益が増えているというスクリーンショットでした。
小林さんは最初、半信半疑でした。しかし、何度もやり取りを重ねるうちに、「この人なら信用できるかもしれない」という気持ちが強くなっていきます。
「寂しかったんだと思います。冷静に考えれば怪しい部分もあったんですが…」
警察庁によると、SNS型投資詐欺やロマンス詐欺の被害は近年増加傾向にあり、高齢者が標的となるケースも少なくありません。相手との信頼関係を築いたうえで送金を促す手口が特徴とされています。
小林さんも、最初は少額から資金を入金しました。
「最初は利益が出たように見えたんです。“本当に増えている”と思ってしまった」
