(※写真はイメージです/PIXTA)

共働き世帯では、将来に備えた資産形成の手段として「共同口座」を設けるケースが増えています。夫婦それぞれが一定額を拠出し、教育費や老後資金など目的別に管理する方法は、合理的で透明性も高いとされています。しかし、その前提となるのは「使い道の共有」と「ルールの明確化」です。これが曖昧なまま運用されると、思わぬトラブルを招くことがあります。

「悪気はなかった」では済まされない…夫婦間の“認識のズレ” 

話し合いはすぐにはまとまりませんでした。

 

「どうして相談してくれなかったの?」

 

真美さんの問いに対し、中村さんはこう答えます。

 

「家計の中でやりくりしてる感覚だったんだよ。いずれ戻せばいいと思ってた」

 

しかし、その「いずれ戻す」は具体的な計画を伴っていませんでした。結果として、積み立てていたはずの資金は大きく目減りし、教育費の準備にも影響が出る可能性が生じます。

 

文部科学省『令和3年度 子供の学習費調査』によると、私立中学校の年間学習費総額は平均で約140万円、公立でも約50万円程度とされています。中学受験を選択する場合、塾費用も含めて相当な資金が必要です。

 

「このままじゃ、選択肢を狭めることになるかもしれない」

 

真美さんはそう感じたといいます。一方で、中村さんにも言い分はありました。

 

「収入はあっても、実際には余裕があるわけじゃなかった。共同口座に入れてる分、手元が足りなくなる感覚もあって…」

 

世帯年収1,000万円という数字だけを見ると余裕があるようにも見えますが、住宅ローンや教育費、物価上昇などを考慮すると、可処分所得は想像以上に圧迫されるケースもあります。

 

最終的に2人は、家計のルールを見直すことにしました。

 

共同口座は「原則引き出し禁止」とし、使う場合は必ず事前に合意すること。また、毎月の収支を共有し、「なぜ足りないのか」を可視化することを徹底しました。

 

現在は、積立額を一時的に減らしつつ、減少した残高の回復を目指しています。

 

「正直、ショックは大きかったです。でも、ここで気づけてよかったとも思っています」

 

共働き世帯における家計管理は、単なる数字の問題ではありません。信頼や役割分担、価値観が複雑に絡み合います。「なんとなく」で回っていた仕組みは、ある日突然、綻びを見せることがあります。

 

 

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