「手取りはもっと少なかった」通知書で知った現実
はがきには、年金額だけでなく、介護保険料や税金などの控除後の振込額が記されていました。月15万円ほどあると思っていた年金も、実際に生活費として使える金額はそれより少なくなっていたのです。
「頭では分かっていたつもりでした。でも、具体的な数字として見ると…」
制度上は当然の仕組みですが、その差を初めて現実として突きつけられた瞬間でした。
その日、吉田さんはノートを開き、支出を書き出しました。食費、光熱費、通信費、医療費、ガソリン代、固定資産税の月割り分。どれも削れるようで、簡単には削れないものばかりでした。
総務省『家計調査(2025年)』によると、高齢単身無職世帯の可処分所得は月約11.8万円、消費支出は月約14.8万円です。年金生活では、実際に使える金額と支出との差が赤字として表れやすい構造があります。
「自分だけが特別に苦しいわけではないのかもしれません。でも、だから安心できるわけでもありません」
吉田さんは、まず車の使い方を見直しました。買い物は週に1回にまとめ、近場は自転車を使うようにしました。電気代を抑えるため、古い家電の買い替えも検討し始めました。
さらに、市役所の年金相談窓口で通知書の見方を確認しました。自分の年金額、控除額、今後の振込予定を整理し、ようやく「毎月いくらで暮らすべきか」が見えてきたといいます。
「恥ずかしい話ですが、通知を見るまで本当の手取りを分かっていませんでした。きちんと確認していれば、もっと違う準備ができたと思います」
はがきに記された数字を見たことで、現実に引き戻されたという吉田さんの老後設計。吉田さんは今も、支出をひとつずつ見直しています。
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