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減税・給付政策の規模と歴史
給付付き税額控除の導入が議論される以前にも、日本では複数の減税・給付政策が実施されてきました。
具体的には、1998年および1999年の特別減税では、それぞれ約6兆円、約4.3兆円の減税が行われました。さらに、2009年には約2兆円規模の定額給付金が実施されています。
新型コロナ対策として実施された2020年の特別定額給付金は約12兆8803億円と、過去最大規模となりました。その後、2023年には約3.3兆円規模の定額減税が行われています。
なぜ政府は効果検証を行わないのか
一般の企業活動であれば、投資の成果を測定し、次の意思決定に活かすのが通常です。しかし、これらの減税・給付政策について、政府が体系的な効果検証を公表した例はほとんどありません。
この点について、政府は2024年6月11日付で、浜田聡議員の質問に対する答弁書(内閣参質213第161号)で見解を示しています。
そこでは、経済は多様な要因が複合的に影響し合って変動するため、「減税施策のみの効果を切り出して検証することは困難である」と説明されています。このため、政府としては個別政策の効果検証を行っていないとしています。
限定的に示された評価
例外的に、1998年・1999年の特別減税については、当時の経済企画庁が「平成11年度年次経済報告」で一定の言及を行っています。
また、2020年の特別定額給付金については、当時の財務大臣であった麻生太郎氏が「給付金はその分だけ貯蓄に回った」と発言しており、消費喚起効果が限定的であった可能性が示唆されています。
さらに、この結果を踏まえ、岸田文雄総理は、その後の政策では一律給付ではなく、経済的に困窮する層に対象を絞る方針を示しました。ただし、答弁書によれば、それ以上の詳細な検証や制度的な分析は行われていないとされています。
今後の焦点は「給付付き税額控除」の検証
これまでの減税・給付政策については、民間のエコノミストによる分析は存在するものの、政府としての統一的な評価は示されてきませんでした。
しかし、今後導入が見込まれる給付付き税額控除は、単年度で終了する施策ではなく、継続的な制度となる可能性があります。そのため、従来のように「効果は測定困難」とするだけでは政策の妥当性を説明しきれなくなるでしょう。
制度の持続可能性や政策の信頼性を確保するためにも、導入後は一定の前提条件を置いた上での効果検証や、検証手法の透明化が求められる局面に入っているといえます。
矢内一好
国際課税研究所
首席研究員
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