体力面での代償も
もちろん代償もありました。60代後半になって、もう一度小さな子どもと一緒に暮らす。それは、体力面の負担です。
「5歳男児の体力は本当にすごい。寝る頃にはヘトヘトです」
そう一郎さんはいいます。
「でもね、これが最高の『ボケ防止』になっているんです」
1日中ソファに座り込み、テレビ画面を見つめるだけ。そんな日もあったのが、孫を追いかけて動き回る日常へ。
「孫に『なんで? どうして?』と聞かれるたび、必死でスマホで調べたり図鑑を引っ張り出したり。曜日感覚も取り戻して、今は孫の保育園のスケジュールを把握しています。頭を使うことが劇的に増えました」
幸恵さんも同様です。「孫をお迎えに行った後は、これを食べさせて……。そんな段取りを考えて、いつもフル回転。夫婦の会話も比べ物にならないぐらい増えました。夫と娘と孫と4人で囲む食卓は、とっても楽しいんです」
娘と孫が連れてきた「生きている実感」
内閣府「第9回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」(令和2年度)で、老後における子や孫とのつきあい方についての項目を見ると、「いつも一緒に生活するのがよい」 と答えた人は1980年には59.4% でしたが、2020年には18.8%まで激減。
一方で「ときどき会って食事や会話をするのがよい」が56.8% と、現在では主流です。つまり、子や孫とは適度な距離を取りたいと考えるシニアが増えているのです。
佐藤家の場合、困っている娘からのSOSという特殊な状況だったこともありますが、次女がしっかり自立していることが、同居をスムーズにしている大きな要因でしょう。
もし娘に収入がなく、親の年金に依存していたら、この生活はすぐ「共倒れの地獄」へと変わっていたかもしれません。寄生同居ではなかったからこそ、親は前向きに捉えることができたのです。
「不安がないわけじゃないですよ。娘は『負担が大きければ、出て行くことも考える』と言っています。でも、いまはこのままがいい。何もせずに時間だけが流れていくよりは、ずっと人生が楽しくなりましたから」
静かな余生よりも、にぎやかな今。 予期せぬ事態は老夫婦に、もう一度、鮮やかな「生きている実感」を連れてきたのです。
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