前回は、利回りの高い物件にまつわる留意点を説明しました。今回は、業者の言う「高い入居率」に警戒すべき理由を見ていきます。

誤解を与えかねない業者の入居率の表示

弊社に限らず、同業他社のほとんどが高い入居率を掲げているため、新築アパート経営を始めれば、皆成功するようなイメージを持たれがちです。

 

本当にそうであれば、ネット上に失敗談があふれることもないはずですが、実際はネガティブな話が後を絶ちません。

 

ではなぜ、そうなるのか。もうおわかりかと思いますが、ほとんどの業者の入居率が、お客様に誤解を与えているからです。

 

ホームページに堂々と98%と表示してあれば、常に97~99%を維持し続けているように捉えがちです。お客様からすれば、堂々とトップページに目立つように数字を出しているのですから、当然正しい情報だろうと思われても無理はありません。

 

しかし、実態は必ずしもそうではありません。業者によっては、過去の実績であったり、3月末の一瞬の入居率であったりと、根拠としているものがまちまちです。つまりホームページやパンフレットに記載の数字は、今現在の入居率ではないのです。

 

ですから、その数字を信じて購入したにもかかわらず、話が違い過ぎるとオーナーからクレームがきます。

 

しかし文句を言ったところで、業者は何もしてくれないため、見切ったオーナー様は損切りも覚悟で売却を決断しますが、そうなると業者も、中古市場に自社物件をあふれさせると信用にかかわるため、社内に仲介部門をつくり、その物件を内々でさばきます。仲介料収入も入り一石二鳥です。

業界のイメージを下げる「売れれば良い」という手法

また、いくら満室といわれても、家賃が下落したのでは意味がありません。5年で25%も下落すれば、常に1~2室が空室であるのと同じことです。こうなれば、ほぼ逆ザヤ。売却もやむを得なくなるのです。

 

私が危惧するのは、そのようなオーナー様が増えることによる、この業界全体のイメージダウンです。売れれば良いというやり方は、いずれは自分で自分の首を絞めるようなもの。

 

ちなみに弊社の状況はと申しますと、2016年10月現在の入居率は99.4%。設立以来、約550棟販売させて頂きましたが、10年かけてこの数字ですから、決して多い実績ではありません。

 

理由は、どこよりも厳しく土地を厳選し、間取りや設備に家賃設定なども厳しく企画するからです。すべては家賃下落もなく入居率99%を切らないアパートをご提供するために。

本連載は、2016年11月30日刊行の書籍『新築アパート経営こそ副業の中の本業 成功の秘訣55』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

新築アパート経営こそ 副業の中の本業 成功の秘訣55

新築アパート経営こそ 副業の中の本業 成功の秘訣55

中島 厚己

幻冬舎メディアコンサルティング

本書は、アパート経営で、「毎月安定した収入を得ながら資産形成ができる」というノウハウが満載。なぜ、そんなことが可能なのか? 入居率99%のアパート経営を提案し続けて10年の実績を持つ著者が、入居者が入り続けるエリアを…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録