売る側が「利回り」を操作することが可能!?
あるとき、談笑中にお客様が、「利回りほど、あてにならないものはない」とおっしゃいました。「どういうことですか」とお尋ねすると、「新築プレミアムの家賃設定は、ある程度覚悟していたのですが、想像以上の家賃下落で、完全にあてが外れました」とのこと。
「他社アパートでよく聞く話」と、お答えしたのですが、ひどい話です。
お客様が新築アパートを購入する場合、利回りは重要な判断材料です。利回りが高いほど、収益性が高いということになるわけですから、できるだけ高利回りの物件を購入したいと考えるのが普通でしょう。
その重要な利回りを、操作されているとしたら、事は深刻です。「利回りさえ高ければ、すぐに売れる」と、売る側が操作しようと思えば、いくらでもできるのが利回り。「今どき、○%の利回りは悪くないですよ」と担当から言われれば、「確かに、これは買わなきゃ損だ」となるのは仕方ありません。
しかし、本当にその通りなら、冒頭のようなお話をお客様から聞かされることもないわけですし、私も、「よく聞く話」とお答えすることもありません。しかし、実際にはかなりの頻度で耳にします。
紙面上ではとても優良な物件に見えるが…
ここで問題なのが、家賃設定。「とにかく売ろう」と考えている販売会社は、その家賃で入居者を募るのは無理があるであろうという高い家賃設定で事業計画を作り、販売します。家賃が高くなれば、当然利回りも高い数字になり、紙面上ではとても優良な物件に見えるため、お客様は、「ちゃんとした会社だし、まさか後で想定外のようなことは起きないでしょう」と、信頼して購入されます。が、2年も経つと愕然とする事態が、待ち受けているわけです。
同じ商品を同じエリア内に、何年にも渡り販売しているわけですから、過去のアパートの家賃がどのような状況をたどったのか、調べるまでもなくわかっているはず。それにもかかわらず、冒頭のようなオーナー様が後を絶たないとは、どういうことかとなるのです。
とにかく利回りに踊らされないよう、しっかりと物件を見極めることが大切です。