(※写真はイメージです/PIXTA)

政府・与野党で議論が続く「食料消費税ゼロ」と「給付付き税額控除」。いずれも物価高対策として注目されている一方で、その実現には大きなハードルが存在しています。特に食料消費税ゼロについては、年間約5兆円規模とされる財源の確保に加え、制度対応や人手不足といった実務面の制約が浮上しており、早期導入は容易ではない状況です。こうしたなか、減税と給付を一体化する「給付付き税額控除」へ軸足を移すべきだとする議論も強まっています。ただし、この制度についても、既存の給付との整理や対象範囲の設計などの課題を抱えており、単純な代替策とは言い切れません。食料消費税ゼロの旗を維持するのか、それとも現実的な制度設計へ舵を切るのか――政策判断はいま、大きな分岐点を迎えています。

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「給付付き税額控除」「食料消費税ゼロ」政策に立ちはだかる“壁” 

政府は、リーマンショックや新型コロナウイルス感染症流行などの局面において、経済的支援策として給付を伴う減税を行ってきました。ただし、「定額減税」を含めこれまでに3度の給付が行われていますが、いずれも単発の措置にとどまっています。

 

一方、「給付付き税額控除」はこれまでの対策とは異なり、一度導入されると継続して実施される制度となります。

 

ただし、2年間の食料消費税ゼロの導入については、人手不足などを理由に早期の実施が難しいとの意見が出ています。これは、同政策の実施に必要とされる財源が、1年間で5兆円、2年間で10兆円に上ると見込まれているためです。

給付付き税額控除の問題点

仮に、消費税減税を諦めて給付付き税額控除を早期に導入する場合、同控除を「低所得者への支援と就労促進」を目的として設計するのであれば、単年度における減税規模は5兆円を下回る可能性も考えられます。

 

たとえば、年間2兆円規模の減税であれば、5年間で10兆円となり、単年度の財政負担が軽減されることで財源調達が容易になると見込まれます。

 

また、なかには「消費税率ゼロ%に時間を要するのであれば、1%にすれば早期に実施できるのではないか」といった意見もあります。

 

有識者会議では、「中低所得者への支援」を中心に据え、子育て世帯への配慮も必要だとする議論が行われているとの報道もあります。有識者のなかには「税額控除と社会保険料の減額を組み合わせるべきだ」とする意見もあるようですが、議論の重点が中低所得者および子育て世帯への支援に置かれるのであれば、米国で実施されている給付付き税額控除がモデルとなっているのかもしれません。

 

各党議員で構成される実務者会議において、食料消費税の減税にこだわるのか、あるいは総理の方針に追認するのかは現段階では定かではありません。

 

一度掲げた「食料消費税ゼロ」の旗を維持するのか、それとも下ろすのかが、最初の大きな関門になるといえます。

給付と減税の一本化が抱える課題

かつての定額減税では、納税者に対しては税額控除等による減税を行い、申告不要の方には別途給付を行うという“二本立て”の仕組みになっていました。これに対し、給付付き税額控除は、これらを一本化する政策です。

 

実施にあたっては、低所得者に支給されている各種手当を整理・統合し給付付き税額控除へ振り替えることができれば、財源の確保も比較的容易になると考えられます。

 

このあたりについては、今後の議論の焦点になるものと思われます。
 

 

矢内一好

国際課税研究所

首席研究員

 

 

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