「使えなかったお金」…父が残していた“遠慮と不安”の正体
封筒の中には、メモも入っていました。
〈何かあったときのため〉
その一文を見たとき、修一さんは言葉を失ったといいます。
「自分は足りない分を補っているつもりでした。でも父にとっては、“使えるお金”じゃなかったんです」
「父は“迷惑をかけたくない”という気持ちが強い人でした。だから、もらったお金も使えなかったんだと思います」
結果として暖房や食費に十分なお金を使わず、生活の質が下がっていた可能性がありました。
「送金しているだけで安心していた自分にも問題があったと感じました」
その後、修一さんは父の退院後の生活について見直しを進めました。現金を渡すのではなく、食材の宅配や光熱費の支払いを直接管理する形に変更し、地域包括支援センターにも相談しました。
「お金を渡すことが支援だと思っていました。でも、それがちゃんと生活に使われているかを見ないと意味がないと分かりました」
和雄さんも、少しずつ考えを変え始めたといいます。
「“使ってもいいお金なんだ”って、やっと思えるようになったみたいです」
離れて暮らす親の生活は、見えにくいものです。数字上は問題がなくても、その内側で何が起きているかまでは分かりません。
支えるつもりで続けていた仕送り。その先にあったのは、「使われないお金」と「言葉にされない不安」でした。
家族の支援は、金額だけで測れるものではありません。どのように使われ、どう受け止められているのか。その実態に目を向けることが、同じくらい重要なのかもしれません。
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