(※写真はイメージです/PIXTA)

離れて暮らす親に仕送りをしていれば安心――そう思っている人は少なくありません。しかし、金銭的な援助がそのまま生活の安定につながるとは限りません。総務省統計局『家計調査報告〔家計収支編〕2025年(令和7年)平均結果の概要』によれば、65歳以上の単身無職世帯は平均で月約3万円の赤字とされ、貯蓄の取り崩しを前提とした生活が一般的です。一方で、支出を極端に抑えることで生活の質が低下するケースもあり、「お金があるかどうか」と「適切に使えているか」は別の問題といえます。

見えにくい高齢親の生活実態

「もう心配しなくていい」

 

そのLINEが届いたのは、ある冬の夜でした。会社員の修一さん(仮名・48歳)は、父・和雄さん(仮名・80歳)からのその一文に、少し違和感を覚えたといいます。

 

「いつもはもっと素っ気ない雰囲気の文章だったんです」

 

和雄さんは地方の持ち家で一人暮らし。年金は月14万円ほどで、修一さんは毎月5万円を仕送りしていました。

 

「これだけあれば、生活は回るはずだと思っていました」

 

電話でも「大丈夫だ」「困っていない」と繰り返していた父。その言葉を疑う理由はありませんでした。

 

しかし、その数日後、和雄さんが自宅で倒れているのが見つかります。幸い命に別状はなかったものの、しばらく入院することになりました。

 

「“心配しなくていい”の意味が、急に分からなくなりました」

 

修一さんは、父の家を整理するために久しぶりに帰省しました。玄関を開けた瞬間、空気の違いに気づいたといいます。

 

キッチンには使いかけの食材が残り、冷蔵庫の中はほとんど空。郵便物も未開封のまま積まれていました。

 

「生活がちゃんと回っていなかったんだと思いました」

 

そして台所の棚を整理していたとき、思いがけないものを見つけます。

 

封筒に入った現金でした。最初は数万円かと思いましたが、数えてみると、合計で50万円近くあったといいます。

 

「え……なんでこんなところに、と思いました」

 

さらに通帳を確認すると、修一さんが仕送りしていた5万円が、ほとんど手つかずで残っている月がいくつもありました。

 

「使っていなかったんです。生活費として送っていたはずのお金を」

 

代わりに、父は年金の範囲内で生活をやりくりし、仕送り分は現金で保管していたとみられます。

 

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