「就職したから」「結婚したから」……実家を出る理由はさまざまですが、中高年になっても実家で暮らし続けるケースは少なくありません。背景には経済的理由などもあり、親子ともに現状を変えられず共依存状態に陥ることも。親の高齢化が進む中、どう考えるべきなのでしょうか。事例とともに見ていきましょう。

母の決意に、息子2人は……

すぐに動いたのは長男でした。渋るかと思いきや、100万円という現実的なお金、そして静子さんの「絶対に折れない」という決意を感じたのかもしれません。家賃5万円のアパートを自ら見つけてきました。それを知ると、弟も続いて行動に移しました。

 

彼らの収入を考えれば、一人暮らしは楽ではないでしょう。しかし、非正規雇用で自活している人は決して少なくありません。

 

いま、独りになったリビングで、静子さんは数十年ぶりに「自分だけの時間」を満喫しているといいます。

 

「勇気を出して突き放したら、ちゃんと独り立ちしようとしてくれるものですね。もっと早く動いていればと思いますし、先はまだわかりませんが、ひとまず第一歩を踏み出せてほっとしています」

「お母さん」という役割を脱ぎ捨てた先の新しい人生

国立社会保障・人口問題研究所の「人口統計資料集(2025年版)」によれば、2020年時点での50歳時の未婚割合は男性28.25%、女性17.81%。今や男性の約3人に1人が未婚という時代です。

 

もちろん未婚や実家暮らしが悪いわけではありません。ただ、その裏に、80代の親が50代の未婚の子を支える「8050問題」などの社会問題が潜んでいるのも事実です。

 

「自分が死んだら、この子はどうなるのか」――そう震えながら、いつまでも子どもを養い、食事を作り続ける親は少なくありません。しかし、それは優しさという名の共依存になっている可能性も否めません。

 

親が存命のうちに、子が親なしでも生きていける状態を整えること。それこそが、親として果たすべき最大の義務ともいえます。

 

同じ屋根の下にいては、つい情が移り、手が出てしまいます。物理的に距離を置くことが、膠着した親子関係を打破する特効薬になる可能性もあります。

 

「お母さん」という重い役割を脱ぎ捨てること。その決断の先にこそ、親子双方にとっての新しい人生が待っているのかもしれません。

 

 

 

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