「申し訳ありませんが、退去していただけますか」〈年金月17万円〉79歳父、老人ホームから突然の退去要請。戻る場所もなく、孤立した老後の絶望

「申し訳ありませんが、退去していただけますか」〈年金月17万円〉79歳父、老人ホームから突然の退去要請。戻る場所もなく、孤立した老後の絶望
(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢期の住まいとして介護施設を選ぶ人は増えています。家族の負担軽減や安全な生活環境を求めての選択ですが、「一度入れば最期まで安心」というイメージとは異なり、状況によって退去を求められるケースも存在します。厚生労働省の資料でも、介護施設から医療機関や別施設へ移る例が一定数あることが示されており、住まいの継続性は必ずしも保証されていません。

「行き場がない」…施設間の“すき間”に取り残される高齢者

退去の期限は約1ヵ月後と提示されました。由紀さんは急いで他の施設を探し始めましたが、状況は想像以上に厳しいものでした。

 

「問い合わせても、“その状態だと難しい”“医療対応が必要になります”と断られることが多くて」

 

誠一さんの状態は、重度というわけではありません。しかし、見守りや夜間対応の負担が大きい中間的な状態だったのです。

 

 

一時的に自宅へ戻る案も検討しました。しかし、すでに自宅は売却済みです。

 

「戻る場所がないんです。これが一番きつかった」

 

最終的に、短期入所(ショートステイ)をつなぎながら、次の受け入れ先を探すことになりました。

 

「“とりあえずここで数週間”という状態が続いて、本人も不安定になっていきました」

 

誠一さん自身も、状況を理解しきれないまま、環境が変わることに戸惑っていたといいます。

 

「ここはどこなんだ、と何度も聞かれて…。見ていてつらかったです」

 

ようやく受け入れ先が見つかったのは、退去期限の直前でした。医療対応が可能な施設で、費用は以前よりも高くなりました。

 

高齢期には状態の変化に応じて、住まいも変わらざるを得ないことがあります。

 

「施設に入れば安心、という単純な話ではないんですね」

 

老後の住まいは、経済面だけでなく、介護度や医療体制との相性によっても大きく左右されます。そして、その条件をすべて満たす場所を見つけることは、決して容易ではありません。

 

「どこでどう暮らすか。それを考えるのは、想像以上に難しいことなんだと実感しました」

 

 

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