「行き場がない」…施設間の“すき間”に取り残される高齢者
退去の期限は約1ヵ月後と提示されました。由紀さんは急いで他の施設を探し始めましたが、状況は想像以上に厳しいものでした。
「問い合わせても、“その状態だと難しい”“医療対応が必要になります”と断られることが多くて」
誠一さんの状態は、重度というわけではありません。しかし、見守りや夜間対応の負担が大きい中間的な状態だったのです。
一時的に自宅へ戻る案も検討しました。しかし、すでに自宅は売却済みです。
「戻る場所がないんです。これが一番きつかった」
最終的に、短期入所(ショートステイ)をつなぎながら、次の受け入れ先を探すことになりました。
「“とりあえずここで数週間”という状態が続いて、本人も不安定になっていきました」
誠一さん自身も、状況を理解しきれないまま、環境が変わることに戸惑っていたといいます。
「ここはどこなんだ、と何度も聞かれて…。見ていてつらかったです」
ようやく受け入れ先が見つかったのは、退去期限の直前でした。医療対応が可能な施設で、費用は以前よりも高くなりました。
高齢期には状態の変化に応じて、住まいも変わらざるを得ないことがあります。
「施設に入れば安心、という単純な話ではないんですね」
老後の住まいは、経済面だけでなく、介護度や医療体制との相性によっても大きく左右されます。そして、その条件をすべて満たす場所を見つけることは、決して容易ではありません。
「どこでどう暮らすか。それを考えるのは、想像以上に難しいことなんだと実感しました」
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