「同じお金でも意味が違う」…夫婦が向き合った老後資金の現実
その後、2人は改めて家計について話し合うことになりました。通帳を広げ、退職金の使い道、今後の生活費、医療や介護の可能性――一つひとつ確認していったといいます。
「今まで、何となく共有できているつもりでした。でも実際は、“お金の見方”が全然違っていたんです」
浩さんは、退職金を「長年働いた対価」として捉えていました。一方、由美子さんはそれを「これからの生活を支える最後の柱」として見ていました。
どちらが正しいという話ではありません。しかし、そのズレを認識しないまま使えば、摩擦は避けられません。
「同じ50万円でも、“ご褒美”なのか“生活費の一部”なのかで、重みが全く違うんです」
最終的に、バッグは買い取りに出すことにしました。浩さんにとっては苦い決断でしたが、由美子さんの不安も理解できたといいます。
「正直ショックでした。でもあのまま押し通していたら、もっと大きなズレになっていたと思います」
その代わりに、2人で話し合い、小さな旅行に行くことにしました。
「一人で決めるんじゃなくて、一緒に決める。それが大事なんだと分かりました」
収入が限られる中での支出判断は、生活の安定そのものに直結します。
「感謝の気持ちは、形にすればいいわけじゃないんですね」
定年後の生活は、これまでとは前提が変わります。だからこそ、小さなズレが大きな問題につながることもあります。
「ありがとう」と「これからどうするか」。その両方を、同じテーブルで話せるかどうかが、老後の暮らしを大きく左右するのかもしれません。
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