「今回は見送らせてほしい」決断が揺らした親子関係とその後
最終的に、夫婦は援助の見送りを決断しました。
正夫さんは、言葉を選びながら長男に伝えたといいます。長男は当初、納得できない様子でした。
「ここまで話が進んでいるのに、今さら取り消すのか」
「親なんだから、それくらいしてくれてもいいだろう」
関係がぎくしゃくした時期もありました。
「正直、言うのはつらかったです。でも、このまま進めたら、あとで後悔すると思いました」
住宅取得資金の援助は、税制上の特例(住宅取得等資金の贈与の非課税制度)が利用できる場合があります。ただし、適用には一定の条件があり、時期や金額によって非課税枠が変わるため注意が必要です。
また、贈与は原則として返還を前提としない資金移転であり、一度実行すれば取り消しが難しいケースもあります。今回のように「実行前に見直す」判断は、結果としてリスク回避につながることもあります。
その後、長男夫婦は当初より規模を抑えた物件で住宅購入を進めました。現在、親子関係は少しずつ落ち着きを取り戻しています。
「結果的には、よかったと思っています」
「援助しないことに罪悪感はありました。でも、自分たちの生活を守ることも大事なんですよね」
子どもを思う気持ちと、自身の老後を守る責任。その両立は簡単ではありません。
親から子への資金援助は、美談として語られることもあります。しかし、その裏には家計や関係性に影響を及ぼす現実もあります。大切なのは、感情だけでなく、長期的な視点で判断することなのかもしれません。
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