(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後資金はいくらあれば安心か」という問いに、明確な答えはありません。一定の資産を保有していても、不安が完全に消えるとは限らないのが現実です。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2023年)』によれば、70歳代の二人以上世帯の平均金融資産は1,757万円である一方で、「老後の生活に不安がある」と回答する人は依然として多くを占めています。資産額と安心感は、必ずしも比例しないのです。

「使ってもいいはずなのに、踏み切れない」

「数字だけ見れば、余裕があるはずなんです。でも、使うのが怖いんです」

 

そう話すのは、地方都市で一人暮らしをする一郎さん(仮名・74歳)です。

 

一郎さんは会社員として定年まで働き、退職金や貯蓄を積み上げてきました。現在の金融資産は預貯金や有価証券を合わせて約9,000万円。住宅ローンはすでに完済しており、持ち家に住んでいます。

 

年金収入は月約18万円。日々の生活費は年金でまかなえていますが、大きな支出はほとんどしていません。

 

「旅行にもほとんど行きませんし、外食も控えています。何かあったときのために、できるだけ使わないようにしています」

 

友人からは、こう言われることもあるといいます。

 

「それだけ資産があるなら、もっと楽しめばいいのに」

「何のために貯めたの?」

 

しかし、一郎さんにとっては簡単に割り切れる話ではありませんでした。

 

「今は元気でも、いつ体が動かなくなるか分からない。介護が必要になったら、どれくらいかかるのかも見えません」

 

厚生労働省の資料によれば、介護費用は在宅か施設かによって大きく異なり、長期化すれば家計への負担は無視できません。さらに、医療費や住宅の修繕費など、将来発生し得る支出は多岐にわたります。

 

「使ってしまったあとで足りなくなったらどうするのか。その不安が、どうしても消えないんです」

 

総務省『家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要』によると、65歳以上の単身無職世帯では、可処分所得が月約12万円に対し、消費支出は約15万円と、平均的には毎月の赤字となっています。不足分は、貯蓄の取り崩しで補っているのが実態です。

 

「自分も、いずれは取り崩すことになるのは分かっています。でも、その“減っていく感覚”が怖いんです」

 

いわゆる「長生きリスク」――想定より長く生きることで資産が尽きる不安も、一郎さんの心理に影響を与えていました。

 

「90歳、100歳まで生きるかもしれないと考えると、今どれだけ使っていいのか判断がつかないんです」

 

 \3月20日(金)-22日(日)限定配信/
 調査官は重加算税をかけたがる 
相続税の「税務調査」の実態と対処法

次ページ使わないことで生まれる、もう一つの問題
カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 石福金属工業のお知らせ 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧