拭いきれない不公平感
A子さんが感じている負担は、お金だけではありません。職場では子どもがいる同僚の急な休みをフォローすることもしばしばです。保育園からの呼び出し、子どもの体調不良、学校行事。事情はよくわかります。だからこそ、口に出して不満を言うことはありません。
ただ、そのしわ寄せが独身の社員に集まることも少なくありません。「家庭がないから、残業が増えても大丈夫だよね」と、どこか当然のように期待されることもあります。
「もちろん、子どもがいる人を社会全体で支えるのは大事だと思います。少子化ですし、子育ては本当に大変だと思うので」
そう前置きしつつも、こう続けます。
「でも、ふとしたときに“なんだか不公平だな”って思ってしまうこともあるんです。1人で生きていくために、お金を貯めたいという切実な気持ちがあるので。“独身税”への不満も、少し理解できます」
この4月からスタートする“独身税”
2026年4月から少子化対策の財源確保のため段階的に導入されるのが、「子ども・子育て支援金制度」。SNSなどでは、これを“独身税”と呼ぶ声もあります。
ただし、この呼び方は少し誤解を招きます。実際には、結婚していない人だけに課される税金ではありません。子育て支援の財源を社会全体で負担する仕組みとして、私たちが支払っている公的医療保険料に上乗せする形で徴収されるものです。
こども家庭庁の年収別試算(被用者保険)では、年収600万円の場合は月575円。年収1,000万円の場合は月959円程度の負担とされています。この負担は独身、既婚、子どもの有無に関わらず課せられる一方、直接恩恵を受けるのは子育て世帯。そのため、実質的に“独身税みたいなものだ”と言われることも。
とはいえ、直接的な恩恵を実感しにくくても、子どもたちがいずれ社会を支える担い手になることは確かな事実です。
人生には、どうしても完全には埋められない“差”のようなものがあります。それは、なにも「独身だから」という理由ばかりではありません。それでも、つい感じてしまう“小さな不公平感”とどう折り合いをつけていくのか――。それもまた、それぞれが考えるべき課題なのかもしれません。
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