家のクリーニングで営業マンは臨時収入を得る!?
内装工事やクリーニングで、思わぬ出費をする例は、Eさんのお父さんに限りません。
これは仲介業者の常套手段、売主からお金を頂戴するフルコースの一部です。
「希望の価格で売却するには、良い印象を買主さんに与えるのが大事です。少しでもお部屋やお庭を綺麗にしていただけると助かります」
営業マンがやんわりと持ちかけてきます。その誘いに、
「そうよね。でも私も歳だし、シロウトがやったくらいじゃ、長年の汚れは落ちないわよね」
などと反応したら、もう相手の思うツボです。
営業マンは、またまた胸の中で小さなガッツポーズでしょう。
「それじゃ、私の知り合いに安くやらせますよ」
「助かるわ、お願いね」
この瞬間に、営業マンは20万円くらいの臨時収入が確定しています。安くとは言っても、本当はそれほど安いわけではありません。そもそも、家一軒の本格的なクリーニング代金を知っている人がどれほどいるでしょう。安いと言われれば安いんだなと納得する感じでしょう。家全体の売却価格設定が数千万円であれば、金銭感覚が少し麻痺して、50万円でも「必要経費だから仕方ない」と感じてしまいます。
リフォーム業者からもたっぷりキックバックを受け取る
「リビングのクロス、少しシミが目立つのよ」
「水回りの汚れ、気になるわよね」
女性はつい清潔を求めがちです。このような話を自分からし始めたら、あっという間に費用がかさみます。営業マンはリフォーム業者からもたっぷりキックバックを受け取り、仲介が成立しなくても充分な収入をこの時点で得てしまいます。営業マンが頑張って売る必要がなくなったら、困るのはあなた(売主)です。古い家屋を解体して更地にする場合、解体業者への発注でも営業マンは余録を得られます。
本当にそうした不正が常態化しているのか、まさか信じられないという読者もおられるでしょう。でも本当です。かなりの割合で行われているでしょう。その証拠に、大手仲介業者では「本社指定業者を使う」などのルールを決めています。そうしないと、現場で営業マンが好き放題にしてしまうからです。
ところがその一方で、会社の上司が今度は指定業者からキックバックをもらうから困ったものです。部下が部下なら上司も上司。これが不動産業界全体を覆う空気なのです。
【図表】