「あんまりいい思い出はないけどね…」東京での生活苦から『雪深い生家』へ単身移住した70歳母。初めての冬、離れて暮らす娘が受け取った〈無言の小包〉【FPが解説】

「あんまりいい思い出はないけどね…」東京での生活苦から『雪深い生家』へ単身移住した70歳母。初めての冬、離れて暮らす娘が受け取った〈無言の小包〉【FPが解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「都会の高い住居費や物価から逃れ、お金をかけずに穏やかに暮らしたい」。そんな願いから、老後に「Uターン移住」を決断する人は少なくありません。しかし実際、老後の生活がそう楽になるとは限らないのが地方暮らしのリアルです。本記事では、田村節子さん(仮名)の事例とともに、地方移住の本当のハードルと家族の安心をつなぐ「終活」のあり方を、FP相談ねっと・認定FPの小川洋平氏が解説します。※本記事は実話をベースに構成していますが、プライバシー保護のため、個人名や団体名、具体的な状況の一部を変更しています。

「田舎は生活費が安い」は本当なのか?

地方での生活は「お金がかからない」と思われがちです。しかし、実際にはそうとも限りません。

 

特に地方では公共交通機関が限られており、移動手段を車に依存しがちです。高齢になると運転が難しくなる人も多く、車が使えなくなるとタクシーなどの交通費がかさむうえ、さらに雪国では、冬になると外出が難しくなります。冬場の除雪や暖房費なども大きな負担となるケースが少なくありません。

 

こうした生活環境を踏まえると、老後に地方へ移住する場合、あるいは実家へUターンする場合は、以下のポイントを事前にしっかりと確認し、リアルな生活をシミュレーションしておくことが不可欠です。

 

・生活環境

・移動手段

・医療機関

・生活費

家族への「思いやり」となるエンディングノートの活用

今回、節子さんが書いたエンディングノートは、

 

・資産の整理

・契約内容の確認

・家族へのメッセージ

 

などを書き残すことができるものです。これらを書き残しておくことは、自分の死後に家族が手続きで困惑するのを防ぐだけでなく、想いを伝えるのにもとてもよいツールです。

 

また、エンディングノートは高齢者だけのものと思われがちですが、実は若い世代にとっても非常に有用です。「もしものこと」は誰にでも起こり得ますし、なにより記入する過程でこれまでの人生を振り返り、自分自身と向き合う時間が持てる、意外な副産物をもたらしてくれます。

 

エンディングノートの書き方は、生命保険会社や保険代理店、ファイナンシャルプランナー等が無料セミナーなどで説明していることも多いです。参加してみて、自分の資産を整理するだけでなく、「これからの人生の優先順位」を考える機会として活用してみるのもよいでしょう。

老後の暮らし方は「これからの生き方」を決めること

総務省の「令和5年版高齢社会白書」によると、日本では65歳以上の単身世帯が増加を続けており、2040年には約900万世帯に達すると推計されています。一方で、地方では過疎化や公共交通の縮小が進み、高齢者が一人で生活しにくい環境も広がっています。

 

節子さんのように、生活費の負担を減らすために地方へ移住する高齢者も少なくありません。しかし、住む場所を変えることは、生活環境や人間関係を大きく変えることでもあります。生活の利便性や地域との関わり、移動手段などを含めて慎重に検討しましょう。

 

そして今回のように、エンディングノートを作成して、自分の資産や希望を整理しておくことは、残される家族にとっても大きな安心につながります。老後の暮らし方を考え、ノートに記すことは、人生の終わりを待つ準備ではなく、これからの時間をどう生きるかを考えるプロセスなのかもしれません。

 

 

小川 洋平
FP相談ねっと
ファイナンシャルプランナー

 

 

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※プライバシー保護の観点から、相談者の個人情報および相談内容を一部変更しています。

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