「見栄」と「家」を捨てて見えた景色
70歳を過ぎ、正夫さんが体力の衰えからアルバイトを辞めざるを得なくなったとき、限界が来ました。節子さんは不眠と不安から鬱状態に。二人はついにマンションを売却する決断を下します。
売却価格は1,100万円。ローンを返し、諸経費を引いて手元に残ったのは700万円ほど。それから2年経ち、現在、二人は公営団地で暮らしています。家賃は5.5万円、負担は以前の半分以下になりました。
「家を手放すときは他の人と比べてしまい、敗北したような、惨めな気持ちでした。でも、引っ越した日の夜、もう来月のローンの心配をしなくていいんだと思ったら、すがすがしくて。お正月や春は孫へのお祝いシーズンでお財布が厳しくて憂鬱でしたが、少し余裕ができたのも本当に嬉しい。この団地は古いですが、一緒に育った背の高い桜がたくさん咲いて、これからの季節、本当にきれいなんですよ」
振り返れば、50代だった自分たちを突き動かしたのは「年を取ると家を借りられなくなる」という恐怖だったといいます。しかし、実際に探してみれば、公営住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、保証会社を利用した一般賃貸など、選択肢はゼロではありませんでした。
確かに、現役世代に比べれば審査は厳しいかもしれません。しかし、「絶対に借りられない」というのは、多くの場合、思い込みや不安を煽る言葉に過ぎません。「家を持っていれば安心」という神話のために、一番自由であるべき老後の時間を「ローンの奴隷」として過ごす。そうならないよう、慎重な判断が必要です。
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