高給取りが陥りがちな「4つの構造的な落とし穴」
Sさんの悲劇を「自業自得」と切り捨てるのは簡単ですが、実は高所得世帯には共通の「構造的な落とし穴」があります。
1. 手取りが「3割以下」に激減
「毎月の手取りが一気に3割以下になる」という現実に直面します。高給サラリーマンであればあるほど、「収入の差」も厳しくなります。年収500万円だった人と比べて、生活水準を下げる苦痛(下方硬直性)も何倍も大きく、この急降下にブレーキをかけられずに破綻する人は少なくありません。
2. 公的年金の「上限」
「高い保険料を払ったから、年金も多い」というのは誤解です。厚生年金保険料には上限(標準報酬月額65万円)があるため、月収100万円の人も150万円の人も、将来もらえる年金額はほぼ同じ。国が保障する年金は、あくまで「標準的な生活」を支えるためのものであり、贅沢な生活を維持するためのものではないのです。
3. 「経費」という名の疑似年収の喪失
営業職などに多いのが、経費を自分の年収の一部と錯覚することです。年間数百万の経費を使っていた人は、退職した瞬間に「実質年収が数百万減った」のと同じ状態になります。これに気づかず、現役時代と同じ感覚で付き合いを続けようとすれば、資産は一瞬で溶けていきます。
4. ライフプランの欠如と「運用」への無関心
Sさんの最大の誤算は、「稼ぐ力」を「資産を守り増やす力」へと転換させなかったことにあります。現役時代から「NISA」などを活用し、複利の力を味方につける、あるいは夫婦で将来の収支を作成し、家計を適正サイズに整えておくことで、退職金も生活費の穴埋めではなく、老後を豊かにするための「黄金の原資」になっていたはずです。
プロフェッショナルの「引き際」をデザインせよ
「稼ぐ能力」と「資産を守る能力」は、まったく別のスキルです。Sさんも、自分自身の家計の収支や資産状態を直視することを怠っていました。さらに、年金制度のルールや資産運用などについて学ぼうとしなかったことも、今の苦境を招いています。
もし、あなたが今「自分は高給だから大丈夫」と思っているなら、今すぐ以下の4点から始めてください。
華麗な現役時代を、惨めな老後で上書きしないためにも、ライフプランに向き合うべきでしょう。
桐山 昌也
株式会社ライトオブライフ
代表/1級ファイナンシャル・プランニング技能士
