ヤマハで出会った“裕福そう”なキーボード講師の「意外な収入源」
私にとって大きな経験だったのは、ヤマハ系列の楽器店で働いたことです。当時の私は、楽器屋で働きながら作曲をし、印税収入を得て、それを元手にコミュニティづくり(※)ができるのではないかと考えていました。
※編集注:筆者は同書で下記のように主張しています。
先行きが不透明な時代において、個人がフリーランスとして独立し、ビジネスを成功させるための最大のカギは「コミュニティ(信頼できる仲間)」の存在です。会社員時代に成果を出せなかった人が単独で戦って急に成功するほど甘くはなく、自身のファンとなってくれる仲間と協力し合うことで、初めて持続可能な経済基盤をつくることができます。強固な信頼関係で結ばれたコミュニティさえ構築できていれば、どんな事業を始めるにしても失敗のリスクを劇的に下げることが可能です。
かつてヤマハの音楽教室が非常に人気を集めていた時期がありました。ヤマハには、ドラムやギターなど、さまざまな楽器の先生が所属していたのですが、その多くはトッププロを目指しつつも、生活のためにヤマハで教えている人が多かったように見えました。正直なところ、あまり裕福には感じられなかったのです。
そんな中で、1人だけ明らかに雰囲気の違う、裕福そうなキーボードの先生がいました。
ある日、スタジオの掃除に行ったとき、その先生が1人でピアノを弾いているのを見かけました。「これはチャンスだ」と思い、思い切って話しかけてみました。
「失礼ですが、先生は他の先生とまったく違って見えます。先生だけ、特別にお金があるように見えるのですが、何か他にお仕事をされているのですか?」
私が知りたかったのは、商売の秘訣のようなものだったと思います。ただ、先生の答えは少し拍子抜けするものでした。
「いや、実は実家が裕福なんだ。家業には参画していないけれど、私は役員になっていて、何もしなくてもお金が入ってくるんだよ」その先生の家業は日本を代表するような大会社だったのです。
そのとき私は、次のように思いました。「そうか、この先生は実家が裕福でスポンサーになってくれるから、好きな仕事で儲からなくても趣味のように続けられるのか」「自分は実家が裕福ではないので、自分が自分のスポンサーになれるように努力すればいいだけだ」
それから私は、シンセサイザーを販売しながら勉強し、作曲にも力を入れ、軍資金となる印税収入を目指すようになりました。

