税の賦課徴収を担当する行政機関「国税庁」
コメは、税務署では手に負えない大きな事案を扱う。これからそのコメの全貌を明らかにしていくが、まずは日本の税務行政の仕組みがどうなっているのかを解説したい。
日本の税務を司るのは国税庁だ。国税庁は内国税、つまり日本国内の人や物などに課される税の賦課徴収を担当する行政機関であり、昭和24年に大蔵省(現・財務省)の外局として設置された。
本庁の下に全国12の国税局(沖縄国税事務所を含む、以下同じ)、国税局の下に524の税務署が、課税や徴収などの実務にあたっている。
ほかには、税務職員の教育機関である税務大学校や、行政処分に対する審査請求の裁決を行う特別機関、国税不服審判所といったようなものまである。これらの組織は本庁をトップとするピラミッド型で、12の国税局が管轄区域内の税務署を指導監督する。
「組織の外」で活躍することもある国税局の職員
国税局では、税務署の指導監督だけでなく、大規模納税者の調査や大口滞納者からの徴収を行うほか、税理士試験も実施する。
資本金1億円以上の企業の調査は調査部、脱税者を検察庁に告発するための調査は査察部など、調査対象者によって担当部署は変わる。
国税局の職員は国税ピラミッド内にとどまらず、組織の外で活躍することもある。金融庁、預金保険機構、警察庁、内閣法制局、内閣府、公正取引委員会、税関、裁判所、放送大学など、出向先は多岐にわたる。
国税調査官は、調査先の選定、準備調査、実地調査、反面調査、調査完結までを一人で担当することを要求される。徹頭徹尾関わることで、企画力や経済取引に対する洞察力が身につき、また組織での統制が取れていることも外部組織から評価される要因となっているのかもしれない。
社会保険の滞納に関する徴収事務に関しても、民主党政権時代から、高額なものについては国税庁が担当することになった。個々の能力、高い士気、情報量、組織力が買われた結果だといえよう。