(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢の親の資産状況は、子どもが把握していないまま年月が過ぎることも少なくありません。とくに一人暮らしの親の場合、生活費や医療費、将来の住まいに備えた資金移動が、家族に共有されないまま進むケースもあります。金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査(2023年)』によれば、70歳代・単身世帯の平均資産保有額は1,529万円。親の通帳を初めて見たとき、子どもが想定していた「老後像」と現実がずれることは珍しくありません。

「言ってくれればよかったのに」長男の複雑な感情

A平さんは言いました。

 

「なんで相談してくれなかったの」

 

母は笑いました。

 

「あなたに払わせる気はないもの」

 

その言葉に、A平さんは胸が詰まりました。

 

「払う払わないの話じゃないよ」

 

老後資金の準備をしていたことに安心する一方、知らされていなかった寂しさも残りました。

 

親の通帳にある大きな資金移動は、必ずしも問題や被害を意味するわけではありません。将来の住まい、介護、医療に備えた計画的な資金移動である場合も多いのです。ただし、共有されないまま進むと、子ども側に不安や誤解が生まれます。

 

A平さんは帰りの新幹線で思いました。

 

「知らなかったのは、資産状況じゃなくて母の覚悟だったんだな」

 

親の老後資金は、子どもに共有されないまま準備されていることがあります。通帳の資金移動は、その計画の一部にすぎなかったのかもしれません。

 

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