今回は、仏壇や仏具の買い替えは親の生前と相続後、どちらが有利なのかを見ていきます。※本連載は、久野綾子税理士事務所の代表税理士・久野綾子氏の著書『相続貧乏になりたくなければ親の家を賢く片づけましょう』(アチーブメント出版)の中から一部を抜粋し、実家の「モノ」の片付けに関するポイントをQ&A形式で解説します。

生前に購入した「仏壇・仏具」は非課税財産

重要度 ★★☆☆☆

仏壇の買い替え。生前 or 相続後

買い替えるなら、どっち?

 

答え:仏壇・仏具は生前に購入する方がお得!ただし、節税目的ではなく、「心」を大切にしてください。

 

実家に昔からある、大きな仏壇。すでに購入しているマンションには和室がないし、そもそも大きさ的に置けない。かといって、ご先祖様を粗末に扱うこともできないし・・・。

 

核家族化が進んだことによって「仏壇離れ」の傾向はあるものの、仏壇を持ち続けたいという方は、小さい仏壇に買い替えるという傾向にあるようです。もし実家の仏壇を買い替えるなら、親の生前と相続後、どちらに購入する方がいいのでしょうか。相続税の観点から比べてみましょう。

 

仏壇・仏具は相続税の非課税財産。つまり、仏壇、仏具には相続税がかかりません。ですから、200万円の仏壇・仏具を購入するとき、

 

●生前に購入・・・200万円は相続財産にならない

●相続後に購入・・・200万円が相続財産になる

 

相続税の観点からみると、仏壇・仏具は生前に買った方がお得です。

日常礼拝用ではない仏具は相続税の対象

ただし、この制度を節税目的として使ってしまう方もいます。1000万円を超える金のお鈴、金の仏像・・・。もちろん、日常礼拝用として本当にその仏具が必要であればいいのですが、そうでない場合には、骨董品として相続税の対象になります。

 

金のお鈴や仏像もいいのですが、それであれば、将来の自分の仏壇を家族と相談しながら選び、先に買い替えておく、という方が「心の相続」という点ではおすすめです。仏壇に手を合わせる習慣を大人になってから身につけるのは、意外と難しいもの。孫が小さいうちに、負担にならない程度の大きさの仏壇を息子夫婦にプレゼントするのも選択肢のひとつです。

 

 

上の図のように、遺言書であらかじめ「祭祀主催者」(ご先祖様をお祀りすることを継承する人・お墓やお仏壇を守っていく人)を指定しておくこともできます。

 

お仏壇を生前に買い替えるとともに、「後のことは頼んだぞ」と遺言書に書いておくことで、形だけの節税ではなく、心の継承もできるのではないでしょうか。

本連載は、2015年3月3日刊行の書籍『相続貧乏になりたくなければ親の家を賢く片づけましょう』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続貧乏になりたくなければ 親の家を賢く片づけましょう

相続貧乏になりたくなければ 親の家を賢く片づけましょう

久野 綾子

アチーブメント出版

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