先祖代々のお墓を引き継いでも相続税はかからない
重要度 ★★☆☆☆
両親のお墓。
親の生前に決めておく or 死後に決める
賢いのは、どっち?
答え:お墓のことは生前に決める!
相続税のこと、お参りのしやすさのこと、家族で話し合ってみましょう。
「地方の実家にある、先祖代々のお墓。でも、もう実家に戻ることもないし・・・」
「次男だから自分たちでお墓は用意しなくては・・・」
お墓にまつわる問題も、頭を悩ませる「実家の片づけ」の一つです。お墓のことは親の生前に決めておく方がいいのでしょうか。それとも死後に決める方がいいのでしょうか。
<相続税のこと>
先祖代々のお墓をそのまま引き継ぐとき、お墓に相続税はかかるのでしょうか。
実は、お墓は相続税がかからない財産(非課税財産といいます)のため、相続税の心配はしなくても大丈夫です。では、お墓がなく新しく購入するときはどうでしょうか。
たとえば墓石を200万円で購入する場合、
●生前に購入 → 相続 → 200万円のお墓として相続税はかからない
●死後に購入 → 相続 → 200万円の現金として相続税がかかる
つまり、生前にお墓を準備した方が相続税は安くなります。
<お参りのしやすさ>
先祖代々長男が実家を引き継ぎ、お墓も長男が管理する・・・。いまの時代、どうしても難しいケースだと思います。「遠くのお墓より近くのお墓」ということで、お参りのしやすさを考えて、次のような選択肢も考えられます。
①お参りしやすいお墓に引っ越す
親の実家が遠くてなかなかお墓参りができない。それならいっそ「お墓の引っ越し」を考えよう!というのも一つの選択です。
ただし、お墓の引っ越しには「改葬手続き」が必要です。
ステップ① 引っ越し先のお墓を決める
↓
ステップ② 市区町村役場で「改葬許可申請書」をもらう
↓
ステップ③ いまの墓地の管理者に「埋蔵証明」をもらう
↓
ステップ④ ②③の書類を持って再び役場に行き、「改葬許可証」をもらう
②納骨堂に預ける
建物の中の区切られたスペースの中にお骨を預けることができます。以前は、子どものいない夫婦やお一人さま向けのサービスでしたが、最近は、子どもに迷惑をかけたくない、家の近くで墓守をしたい、というケースも増えてきています。
お墓の引越しや納骨堂のほかにも、海上に骨を撒く「散骨」というスタイルも生まれています。時代の移り変わりとともに、お墓のあり方も変わってきているのです。
お墓を管理する「祭祀主催者」を決めて、遺言書に書く
また、お墓について遺言に書くこともできます。
①お墓を管理する人を決めておく
第○条 遺言者は祖先の祭祀を主催するものとして○○を指定する。
2 ○○には墓地を含む○○家代々の墓および仏壇等祭祀に必要な財産の一切を相続させる。
②お墓を管理する人を決めて、一緒にお金も準備しておく
第○条 遺言者は祖先の祭祀を主催するものとして○○を指定する。
2 ○○には墓地を含む○○家代々の墓および仏壇等祭祀に必要な財産の一切を相続させる。
3 ○○には祭祀に必要な費用に充てるため、次の預金の全部を相続させる。
○○銀行○○支店口座番号○○○○の遺言者名義の○○預金
③特定の宗教法人に永代供養をお願いする
第○条 遺言者は遺言者名義の預貯金のうち、金○○万円を宗教法人××に遺贈する。
第○条 宗教法人××は前条の遺贈を受ける負担として、遺言者の永代供養を遺言者の永代供養を死後○○年にわたって行わなければならない。
お墓を管理するなど、祖先の祭祀を主催する人のことを「祭祀主催者」といいます。
指定を受けた人(原則として1人)は断ることはできませんが、実際に法要等の祭祀を行うかどうかは自由です。遺言で書いてあったとしても、義務ではなく、「お願いします」というメッセージにしかなりません。
また、祭祀財産にはお墓だけでなく、家系図・仏壇や仏具も含まれます。遺言に残す・残さないも含め、親がどう思っているか、子がどう思っているか、家族でしっかり話し合い、お墓の方向性を考えてみてはいかがでしょうか。