家計管理は「共有財産」という原則
法律上、婚姻期間中に形成された財産は、原則として夫婦の共有財産と考えられます。給与も退職金も、どちらか一方だけのものではありません。実際、離婚時の財産分与では、退職金も対象に含まれるケースが一般的です。
山口さんも頭では理解しています。
「共働きの時期もありましたし、妻が家計を守ってくれたのも事実です。でも感情としては、“ずっと働いてきたのは俺なのに”って気持ちも出てしまう」
ある日、会社帰りに趣味のカメラレンズを分割で購入しようとしたところ、家族カードの利用制限がかかっていたことが分かりました。
「限度額がゼロに設定されていました。“もうすぐ収入が減るんだから、勝手な買い物は困る”って」
国税庁『令和6年分 民間給与実態統計調査』によれば、55〜59歳男性給与所得者の平均年収は735万円。山口さんの720万円はほぼ平均的なレンジに位置します。
それでも本人の満足度が低いのは、総額ではなく裁量の問題です。
「額じゃないんですよ。自分で決めて使えるかどうかなんです」
定年前後は、
収入が減る不安
医療・介護リスクの現実化
老後資金2,000万円問題以降の警戒感
といった背景から、支出管理が一気に厳格化する家庭も少なくありません。
そこで山口さんは夫婦で月1回の家計ミーティングを始めました。
「全部任せきりじゃなくて、数字を一緒に見るようにしたんです。小遣いも来年から少し増えることになりました」
「屈辱って、お金の額じゃないんですよね。“信頼されてない感じ”が一番きつかった。でも話したら、少し変わりました」
定年間際の家計問題は、単なる金額の話ではなく、夫婦の関係性の再設計の問題でもあるようです。
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