インドルピーの国際的なパワー
インドルピーの通貨としての「パワー」は、国際通貨としての拡がりに欠け、アメリカドルやユーロの影響力に及ばないのはもちろんのこと、中国人民元、日本円、イギリスポンドとも比べ物にならない低い国際化レベルです。
インド国内金利は、インドステイト銀行(SBI)でも、ICICI銀行でも、預金者が窓口で直面する定期預金金利は6%台後半(からそれ以上)を維持しており、(インドで事業展開をするための資金という前提においては)インドルピーを低リスクの銀行預金として置いておいてもこれだけの利息がついてきます。ブラジルやメキシコなどの10%オーバーの南米諸国に比べれば見劣りしますが、低くはない数値です。
日本も植田総裁時代になり、ゼロ金利解除が話題になりましたが、それでもインドの金利水準とは比較になりません。高い金利はルピーの魅力を高め、海外投資家の資金流入を促します(インドルピーは対ドルなどで大幅に下落することもあり、為替リスクは大いにありますが)。
インドの高いGDP成長率と若年層人口の多さ、グローバル化を進展させようとする政府施策といった基本的要素から、インドは経済成長するトレンドにあります。
その負の側面として、急激な需要の増加や、未整備なインフラによってサプライサイドが追いつかないことによる物価上昇から、過度なインフレになる懸念もあります。インフレ率が高すぎると、せっかくの経済成長期に事業主体がコスト高に苦しんで投資が停滞してしまうでしょうし、インドルピーの購買力が低下し、外国資本の流出を招く可能性が出てきます。
過度なインフレをコントロールするために中央銀行(インド準備銀行〈RBI〉)が政策金利引き上げ、高金利の維持などで対応しますが、直近ではむしろ物価は安定しておりインフレ傾向にはありません。実数値として2025年2月の金融政策決定会合(MPC)で約4年半ぶりに0.25ポイント引き下げて6.25%とすることが公表されています。
インフレ率の低下と政策金利の引き下げが同時に進行し、実質金利が若干上昇する傾向にあります。
インド政府の「減税政策」による経済成長
また、2月のMPCの直前の2025年2月1日に発表された、モディ政権下での2025年度予算案は、免税範囲を大幅に拡大(新税制のもと、これまでは年収70万インドルピーまでの免税範囲だったが、給与所得者は年収127.5万ルピー程度まで所得税が発生しない構造となった)するという実質的な大幅減税に舵を切りつつも、同時に財政赤字対GDP比率目標は前年度4.4%を踏襲し4.8%目標とした若干上昇程度の水準維持を掲げています(なおコロナ禍の2020年度は9.2%、その後は6.7%、6.4%)。
このことから、モディ政権は減税効果が経済成長を促進し、かつプライマリーバランスもほとんど悪化させないというマクロ経済イデオロギーに立っていることが窺えます。
日本国内では減税は、補填財源なくば即プライマリーバランス悪化につながるという論拠から減税と増税が一体になって議論されることが多かったものですが、モディ政権は、分配型政策も多く採用しているものの本予算案においては、その良し悪しの議論は別にして、減税は経済成長の種であるという自由主義的なイデオロギーを実践しています。
企業にとっては追い風となるマクロ政策です。
