夫が知らない間に広がっていた「亀裂」
夫の年収は約560万円、美和さんは420万円。美和さんは、子育てに追われながらパートで働き、徐々に仕事の幅を広げていき、正社員になっていました。家計を支えながら着々と「1人で生きる道」を作っていたのです。
亮太さんは慌てて謝罪。「悪気はなかった」と繰り返しました。しかし美和さんは静かに首を横に振ります。
「もう遅いわ」
数日後、美和さんは家を出ました。最低限の荷物を持って別居が始まったのです。妻の収入を失えば、住宅ローンの返済が滞ることも予想できます。洗濯や掃除が滞り、みるみる汚くなる部屋に、お総菜やお弁当で済ます食事。
かつては家族4人でにぎやかに暮らした家でしたが、今は1人。たとえ離婚を拒否しても、もう妻が戻ることはないかもしれない。「帰ってきてくれ……」静まり返った家で呟くしかありませんでした。
子育てが終わった後、定年前後…夫婦のすれ違いが一気に顕在化
令和5年「司法統計年報」の婚姻関係事件数(申立ての動機別)をみると、離婚理由のトップは男女ともに「性格が合わない」であり、日常の価値観や会話のズレが積み重なって離婚につながるケースが非常に多いとされています 。
また、子育てが終わった後や夫の定年前後の離婚、いわゆる「熟年離婚」も増加傾向にあり、20年以上の結婚生活の後に離婚する割合が過去最高となっているというデータ(厚生労働省・人口動態統計)もあります 。
亮太さんのケースで壊れていったのは、外見への言葉もそうでしたが、「嫌だ」と伝えても改められなかった日常でした。子どもが去ったあとに残るのは、夫婦2人の関係だけです。その時に「まさかの事態」に陥らないために、お互いに日常の言葉や態度をときどき振り返ることが必要なのかもしれません。
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