(※写真はイメージです/PIXTA)

大手メーカー勤務の高橋健一さん(仮名・34歳)は、23区内の9,000万円の3LDKマンションをペアローンで購入しました。家族の幸せを願って手に入れた好立地の住まいでしたが、過酷な現実が待っていました。生活音や手狭さに悩みながらも多額の債務ゆえに身動きが取れなくなり、後悔に苛まれる夫婦の事例を紹介します。

年々上昇する住宅ローンの「負担率」

近年、銀行各社が借入上限を3億円へ引き上げたり、50年ローンを投入したりすることで、本来は手が届かないはずの物件も書類上は「返済可能」な商品として提示されるようになっています。しかし、ペアローンで極限まで引き上げた購買力で手に入れたのは、スペックが向上した理想の住まいではなく、地価高騰分を転嫁されただけの「高額な標準物件」です。

 

総務省が発表した「家計調査(2025年公表分)」の最新データによれば、住宅ローンを抱える勤労者世帯の固定費負担は過去最高水準で推移しています。高橋さんのケースでは、同年代(34歳前後)の単身勤労者世帯が支払う平均的な住居費(月約8〜10万円)と比較しても約3倍のコストを支払っています。これは、高所得でありながら生活の質が向上せず、むしろ同世代の単身者よりも家計の柔軟性が失われている“歪な構造”を浮き彫りにしています。

 

過剰な住居費負担は、転職や引越しといった人生の選択肢を狭める足かせとなっており、本来安らぎの場であるはずの住まいが「債務を返すためのノルマ」へと変貌しています。こうした都心部の物件価格高騰による負担増は、もはや個人の選択ミスの範疇を超え、日本社会全体が直面している深刻な社会問題といえるでしょう。
 

 

[参考資料]

総務省「家計調査(2025年公表分)」

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