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日本は「他国の水」の輸入大国だった
スペインの事例が示しているように、農業と水資源のバランスが崩れると、地域の環境や社会に深刻な影響が及びます。そして、それは決して“その土地だけの問題”ではありません。
現代の水資源は、農産物や半導体などの製品に姿を変え、国境を越えて流れています。つまり、私たちが日々手にする食べ物や商品にも、見えないかたちで他国の水が含まれています。
水は、グローバル経済と私たちの暮らしを密接につなぐ存在です。日本は島国であり、国内の河川は上流から下流まで一国の中で完結しています。そのため、国際河川をめぐる国家間の争いや水紛争とは無縁のようにも見えるかもしれません。
しかし現実には、日本はG20諸国のなかでバーチャルウォーターを純輸入する主要国の一つとされ、とくに農産物や工業製品を通じた水の輸入量が多いことが報告されています。
バーチャルウォーターとは、輸入された製品や農産物を生産する際に使われた水を、消費国が仮想的に「輸入」していると見なす考え方です。日本の食卓に並ぶアボカドやオリーブオイル、果物や肉には、他国の水資源が使われているのです。
近年では、コロナ禍やウクライナ戦争を契機に、「食料は海外から安く買えばよい」という発想が見直され、食料自給率や水の国内循環の重要性が改めて注目されるようになりました。さらに、気候変動や地政学的リスクが重なった場合、グローバルな食料・水の流通が大きく滞る可能性も指摘されています。
米ラトガース大学の研究によれば、仮に大規模な核戦争が発生すれば、その後に訪れる「核の冬」によって太陽光が遮られ、地球全体の気温と農作物の収穫量が大幅に低下するというシナリオが想定されています。最悪の場合、世界で50億人規模の飢餓が発生する可能性があるという試算もあり、日本のように食料自給率が低い国では、その影響は一層深刻になると見られています。
この研究が突きつけているのは、グローバルなサプライチェーンに過度に依存する社会の脆弱性と、食料と水をめぐる「地政学的リスク」が、私たちの暮らしのすぐそばに存在しているという現実です。日本の米が高いなら米国から米を輸入すればいいという考え方は、この点を見落としています。
橋本 淳司
アクアスフィア・水教育研究所 代表
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