離婚後の生活は本当に成り立つのか?
しかし、実際に離婚して生活していけるのか? 恵子さんは、そのあたりも抜かりはありません。FPに相談をして離婚前にキャッシュフロー表を作成していました。
・財産分与(退職金):1,250万円
・財産分与(預貯金):300万円
合計初期資金は1,550万円です
これを年金受取65歳までの生活費にあてると仮定し、毎月の生活費を多めに13万円で設定した場合の年間生活費は約156万円、7年間の合計は約1,092万円です。
恵子さんは女3人姉妹の長女で、両親ともに存命。離婚の話をすると「いつでも戻ってきなさい」とのこと。両親に介護が必要になれば、その手助けをする代わりに家を引き継ぐということで、妹たちとも話がつきました。
こうした状況から、65歳以降は月14万円強の年金で細々とやっていけると判断。生活が落ち着いたら、自分にできるアルバイトを見つけようとも。
「感情ではなく、数字で判断する」
これが、恵子さんが最後に辿り着いた答えだったのです。
準備が甘いと離婚できない現実も
熟年離婚は単に「離婚したい」という気持ちだけでは成立しません。
・モラハラの証拠がなく、主張できない
・財産分与の対象を把握していない
・離婚後の生活費を見積っていない
このような状態では、離婚の条件次第で不利になったり、離婚後の生活が成り立たなくなったりするリスクがあります。退職金の分与割合も、必ずしも50%になるとは限りません。
その点、恵子さんは「我慢の期間」を「準備の期間」に変えていました。その差が老後の安心を大きく分けたのです。
天国から地獄に落ちた夫
退職金を受け取って有頂天だった将司さんでしたが、妻から離婚を突き付けられ、愕然。恵子さんは「ようやくこの時がきた」と待ち侘びていましたが、彼にとっては寝耳に水です。
もちろん拒否しましたが、調停の場で話し合いを重ねる中で、離婚に同意することに。人には強く当たるのに繊細なところがある将司さんは、恵子さんの「完全拒否」に心が折れ、戦い続ける気力を持てませんでした。
退職金の2,500万円も年金も激減。これは、確かに大きなダメージです。しかし、1番ショックだったのは、長年当たり前だと思っていた恵子さんの存在がもう戻らないこと。家事が一切できない将司さんは、スーパーのお弁当をレンジで温めて食べる毎日です。
一方、恵子さんは「これから大変なことがあるかもしれません。でも、ようやく自分の人生を生きられる気がする」と晴れ晴れとした笑顔を見せます。
熟年離婚は誰かを罰するためのものではありません。 しかし、準備をした人としなかった人では結果が大きく変わる、その現実だけは確かに存在します。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®
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