(※写真はイメージです/PIXTA)

「田舎で静かに暮らしたい」「生活費を抑えたい」――退職後の生活設計として、地方移住を選ぶ高齢者は少なくありません。しかし、いざ移住してみると「思っていた生活イメージ」と“現実”とのズレに直面するケースもあります。退職後の生活設計と地方移住の両立には“想定外の壁”があるようです。

「老後は田舎でゆっくり、なんて簡単に言えない」ワケ

また、地方の暮らしには「医療や介護へのアクセスの不便さ」という現実もあります。大都市部では病院や在宅医療のネットワークが比較的整備されている一方で、過疎地域では高齢者が医療機関にたどり着くまでに10キロ以上移動しなければならないケースも珍しくありません。こうした地域差は、日常的な通院や診察の頻度に影響し、意外な負担につながることがあります。

 

由美さんが父・雄二さんの暮らしに違和感を覚えたのは、体力的な疲れだけが理由ではありません。

 

「最初のころは電話でも元気そうだったんです。でも、ここ最近は、声が急に小さくなっていて…。なんだか“しんどい”って言っているように聞こえました」

 

高齢者の社会的孤立が健康に影響するという指摘は多く、内閣府『孤独・孤立対策の重点計画(令和4年度)』でも、人とのつながりが希薄になることで精神的な不調をきたすリスクがあるとされています。特に高齢の単身世帯では、外出の機会や人との会話が減ることによって、うつ傾向や認知機能の低下につながる可能性もあります。

 

「もっと早く来ていれば、違ったかもしれないですね」

 

年金や退職金の金額だけで老後の安心が決まるわけではありません。移住先の医療や介護サービスへのアクセス、人とのつながり、地域との距離感――そうした要素も含めて見通しておく必要があります。

 

「老後は田舎でゆっくり、なんて簡単に言えないですね。お金があっても、支えてくれる人やサービスがなければ、安心して暮らせないと思います」

 

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