相続で一番大切なのは「話し合い」
相続対策において最も重要なのは、制度や専門家の知識よりも「家族間の話し合い」です。どれほど法律的・税務的に優れた対策を立てても、家族が納得しないまま進めれば感情的なしこりを残し、結果的に争いの火種をつくってしまいます。
また、ご本人の意思も非常に大切ですので、ご本人のご希望を前提に話し合いをする必要があります。相続の話し合いは、遺産分割を決める場であると同時に、家族の価値観や思いを共有し、未来の関係性をつくる大切な機会でもあります。
とはいえ、「家族会議を開こう」と唐突に切り出してもうまくいくとは限りません。長年、お金や将来の話題を避けてきた家庭も多く、重いテーマに踏み込むことに抵抗を感じるのが普通です。そこで重要になるのが、「誰が、どう切り出すか」という第一歩です。
例えば長男が「実家のこと、そろそろ話しておいた方がいいよね」と軽いトーンで話題にしたり、テレビやニュースで相続トラブルの事例が出た時に「これ、人ごとじゃないかもね」と自然に入り口をつくったりすると、心理的ハードルが下がります。
話し合いの初回から結論を出そうとする必要はありません。まずは「今の気持ちを共有する場」として設定しましょう。現時点での考えや不安、希望を出し合うことで、お互いの立場や事情が見えてきます。
例えば、親が「この家にはできるだけ長く住みたい」と思っていても、子どもたちは「老後の生活費や維持費の負担が心配」と感じているかもしれません。こうした認識の違いを早い段階で把握することが、納得感ある相続への土台になります。