ターゲットにされている人・取引5選
最新の公表資料から読み取れる「調査対象になりやすいターゲット」として、以下の5つが挙げられます。
1.富裕層
保有資産や所得が多い人ほど、申告漏れがあった場合の追徴課税額が大きくなります。国税庁にとっては効率的に税収を確保できるため、富裕層は継続的にマークされています。
なお、明確な定義はありませんが、一般的には金融資産1億円以上を富裕層、5億円以上を超富裕層と呼ぶことが多いです。経営者のなかにも該当する人は少なくないでしょう。
2.海外投資・海外取引
近年、海外不動産や株式投資を行う人が増えていますが、先述した公表資料によると、海外投資を行った個人に対する追徴課税額は1件あたり約649万円と、全体平均(約275万円)の2.4倍にのぼります。
「海外の資産はバレないだろう」と考えるのは危険です。海外口座の情報も、国税からは丸見えだと思ったほうがいいでしょう。
銀行の海外送金情報は「国外送金調書」により税務署に報告されるほか、5,000万円以上の海外資産は「国外財産調書」で納税者側の自己申告が義務づけられています。
さらに、CRS(共通報告基準)制度により、国際的な税務についても各国が口座情報を共有しているため、「海外での資産隠し」はもはや困難です。
3.インターネット取引
ネット通販やアフィリエイト、クラウドソーシング、ギグワーク(Uber Eatsや出前館の配達員など)、シェアリングエコノミー(民泊やカーシェアなど)に関わる人も、ここ数年税務調査のターゲットとして注目されている分野です。
特に副業や新しいビジネスモデルで収入を得ている層は、申告意識が低く、無申告になるケースが多いと国税庁は見ています。また、新たな分野だからといって見逃しているわけではない、というアピールも込められています。
4.無申告者
本来確定申告が必要にもかかわらず申告していない人は、当然ながら調査対象です。公表資料でも「追徴税額過去最高」とあり、税務署の目は年々厳しくなっています。
特に、副業をしている方は要注意です。年間20万円を超える所得がある場合(給与所得者)は申告義務が生じます。「少し儲かっただけだからバレないだろう」と放置すると、後々大きなリスクになります。
5.消費税の還付申告を行っている事業者
輸出業や多額の設備投資を行った事業者は、消費税の還付を受けられることがあります。
しかし、この制度を悪用し、架空の仕入れを計上して不正に還付を受けようとするケースが後を絶ちません。国税庁は消費税の不正還付対策に本腰を入れており、悪質な場合は重加算税を含む厳しい処分が下されます。
このほか、資料では言及が少ないものの、暗号資産や仮想通貨取引も申告漏れが多い分野として注目されています。今後、調査が本格化する可能性が高いでしょう。
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