前回は、葬儀社を選ぶ際のポイントを説明しました。今回は、親族が亡くなった際、遺族が最初にしなくてはいけない手続きをお伝えします。※本連載は、公認会計士・税理士の御旅屋尚文氏、司法書士の池田秀樹氏、特定社会保険労務士の柳勉氏の共著『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』(神宮館)の中から一部を抜粋し、家族が亡くなったときに発生するさまざまな手続きについて解説します。

病死であれば「死亡診断書」を受け取る

親族が亡くなって、遺族が最初にしなければならないことは、「死亡診断書」の受け取りです。病院で亡くなった場合は臨終に立ち会った医師、自宅でしたら死亡を確認してくれた医師に作成してもらいます。

 

病気以外の交通事故や不慮の事故、変死、自殺などで亡くなったときは、死亡診断書ではなく「死体検案書」になります。このような場合は、警察の検死が行われ、監察医によって死体検案書が作成されます。死体検案書を受け取ることができるのは、3親等までの親族に限定されていて、それ以外の関係者は委任状と本人を確認できる運転免許証・健康保険証などの提示が必要になります。

 

海外で死亡が確認された場合は、現地の医師に死亡診断書を作成してもらうのが原則で、死亡届は大使館や領事館に提出します。海外では火葬が一般的ではないので、遺体で国内に運ばれるケースがほとんどです。仮に現地で火葬を済ませ遺骨を持ち帰る際には、死亡診断書など現地で発行されたすべての書類を持ち帰り、帰国後3ヵ月以内に「死亡届」を提出します。

 

出産後すぐに死亡した場合には、「出生届」を提出したのちに死亡届を役所に提出します。死産では医師(助産師)に「死産証書」を作成してもらい、死産届を出します。死亡診断書や死体検案書は、相続税の申告・生命保険の受け取りなどにも必要になるので、コピーを多めにとっておきましょう。

死亡診断書と死亡届はコピーをとっておく

<死亡届を7日以内に提出します>

死亡診断書の手配が済んだら「死亡届」を提出します。死亡届は親族、同居者、家主、後見人などが亡くなった事実を知ってから7日以内に提出します(届出の期限が過ぎてしまっても死亡届の提出はできますが、その場合は遅れてしまった理由を記した「失期届」の添付が必要です。正当な理由がない場合には、簡易裁判所によって過料に処されることもあります)。

 

<死亡届の提出先は>

①死亡した人の本籍地がある役所

②死亡した病院などがある市区町村の役所

③届出人の居住地にある市区町村の役所

 

などで、故人が生前居住していた居住地の役所は該当しません。

 

死亡届の用紙は、死亡診断書(死体検案書)とそれぞれ左右半分ずつで1枚になっています。そのため死亡届を役所に提出してしまうと(葬儀社に手続きの代行を依頼した場合などは特に)、医師の記入した死亡診断書に目を通さないまま、あとで後悔したりということにもなりかねません。

 

死後の手続きに追われて、死因の確認をしないなどということのないように、役所に提出する前には必ず死亡診断書と死亡届のコピーをとっておくことを、忘れないようにしましょう。

 

★ここがポイント

死亡届の提出に際しては、代理人(葬儀業者など)でもできますが、その場合には届出人と代理人のそれぞれの印鑑が必要になります。

 

■死亡届の書き方

本連載は、2016年12月11日刊行の書籍『家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

家族が亡くなった後の手続きと相続がわかる本

御旅屋 尚文,池田 秀樹,柳 勉

神宮館

シニア世代必読! 大切な家族が亡くなったとき、今までに経験したことのないような深い悲しみと同時に、膨大な手続きをしなければなりません。 本書では大切な家族が亡くなった後に行う葬儀・法要の流れから、年金・保険・名…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録